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「スダメリカーナ」はもはや有名無実? 北半球のパチューカが優勝!
決勝 2nd.Leg コロ・コロ 1-2 パチューカ
コッパ・スダメリカーナは、12月13日にチリで1試合が行われた。サンティアーゴのエスターディオ・ナシオナルで行われた決勝 2nd.Leg コロ・コロ×パチューカ は、敵地に乗り込んだパチューカが見事に接戦をものにした。2試合合計は 3-2 。今年のスダメリカーナの優勝カップは、南半球でなく北半球にもたらされた。
試合は、地元サポーターの歓声に押されるかのようにしてコロ・コロが先攻。速攻からFWウンベルト・スアーソのミドルシュートでリズムをつくった。しかしパチューカもすぐに反撃。FWクリスティアン・ヒメーネスを軸に中盤から押し上げてシュートで終わる攻撃を繰り返し、相手ゴールを脅かした。
30分を過ぎ、パチューカが主導権を握りかけたが、最初にゴールネットを揺らせたのはコロ・コロだった。35分、1本の縦パスにFWアレクシス・サンチェスが反応してペナルティエリアに入ると、相手をひきつけてフリーのFWウンベルト・スアーソにパス。FWスアーソはボールを右足に持ち替えると強引にシュートを放った。ボールはGKカレーロの脇の下をすり抜けてゴールに突き刺さり、コロ・コロが待望の先制点をゲットした。
ところが後半は一転してパチューカに流れが傾く。テンポよくボールをつないでリズムをつくったパチューカは54分、MFダミアン・アルバレスを起点として左サイドをえぐったMFアルベルト・ロドリゲスが中央にクロス。ファーサイドからゴール前に飛びこんできたMFガブリエル・カバジェーロがジャンピングボレーでゴールに押し込み、パチューカが同点に追いついた。
その後はコロ・コロがやや盛り返すがどちらも次の1点を奪うには至らず、膠着状態が続いた。決定機の数ではコロ・コロに歩があったが、ゴールネットを揺らしたのはパチューカ。73分、相手のコーナーキックからボールを奪ってカウンターを仕掛けると、一人二人と素早くボールをつないで一気に相手ゴール前に突進。MFアンドレス・チティーバのラストパスをペナルティエリアでトラップしたFWクリスティアン・ヒメーネスが、右足ボレーでゴール左隅に突き刺した。結局このゴールが決勝点となり、パチューカが逆転勝利で悲願の優勝を達成した。
コロ・コロは、前節の 1st.Leg でFWウンベルト・スアーソが貴重なアウェイゴールをゲット。この日はとにかく相手に点を与えないことが重要だった。前半はタイトな守備で失点を回避し、1-0 と理想的な形でハーフタイムを迎えた。チーム内の雰囲気も決して悪くはなかった。だが後半に勝負をかけてきた相手の攻撃を防ぎきれず、結果は無念の逆転負け。優勝できなければ、大会得点王に輝いたFWウンベルト・スアーソの奮闘も虚しく色褪せてしまう。
一方パチューカは、自分たちのリズムで試合を進めながら先制を許す嫌な展開に直面したが、焦らず前半を乗り切って後半に勝負をかけた。ハーフタイムのとき「素早くボールをつないで攻めれば相手を崩せる」と選手たちに檄を飛ばしたエンリケ・メーサ監督の発言通り、同点弾も逆転の決勝ゴールも速攻の産物であった。敵地でのすさまじい野次罵声にも動じずに勝利したパチューカ。「南米」の意味を示すスダメリカーナのタイトルを、北半球に持ち帰ることに成功した。
1992年創設のコッパ・コンメボルから、コッパ・メルコスール&メルコノルテと形や名を変えて現在のコッパ・スダメリカーナに落ち着いて今年で5周年。メキシコら北半球勢の台頭が今後も続くようだと、「スダメリカーナ」という大会名には有名無実の烙印が押されそうである。
写真; 遠路はるばるチリに乗り込んでスダメリカーナのタイトルを獲得したパチューカ。チームに貢献した選手たちの表情はなんとも晴れやかだ。
コッパ・スダメリカーナ 2006 決勝 2nd.Leg (13/12/2006) |
コロ・コロ |
1-2 |
パチューカ |
クリスティアン・セーハス
|
GK
|
ミゲル・カレーロ
|
ミゲル・リッフォ
アルトゥーロ・ビダル
ダビ・エンリケス
|
DF
|
アキバルド・モスケーラ
レオバルド・ロペス
ファウスト・ピント
マルビン・カブレーラ
|
アルバーロ・オルメーニョ
( マリオ・カセレス )
エクトール・サヌエーサ
アンドレス・メレンデス
( ミゲル・カネオ )
ゴンサーロ・フィエーロ
マティアス・フェルナンデス
|
MF
|
ハイメ・コレーア
フェルナンド・サラーサル
( アルベルト・ロドリゲス )
ガブリエル・カバジェーロ
アンドレス・チティーバ
|
アレクシス・サンチェス
( アンドレス・ゴンサーレス )
ウンベルト・スアーソ
|
FW
|
クリスティアン・ヒメーネス
( ファン・パブロ・アルファーロ )
ファン・カルロス・カッチョ
( ダミアン・アルバレス )
|
ウンベルト・スアーソ 35
|
ゴール
|
54 ガブリエル・カバジェーロ
73 クリスティアン・ヒメーネス
|
アルトゥーロ・ビダル
アンドレス・メレンデス
ダビ・エンリケス
|
イエロー カード |
ダミアン・アルバレス
クリスティアン・ヒメーネス
|
ゴンサーロ・フィエーロ
|
レッド カード |
アンドレス・チティーバ
|
クラウディオ・ボルヒ
|
監督
|
エンリケ・メーサ
|
主審; エクトール・バルダッシ ( アルゼンチン )
スタジアム; エスターディオ・ナシオナル ( サンティアーゴ )
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Final 〜決勝〜
1st.Leg |
パチューカ |
1-1 |
コロ・コロ |
2nd.Leg |
コロ・コロ |
1-2 |
パチューカ |
2試合合計 3-2 で パチューカ が優勝。 |
|
Semi Final 〜準決勝〜
1st.Leg |
アトレチコ・パラナエンセ |
0-1 |
パチューカ |
2nd.Leg |
パチューカ |
4-1 |
アトレチコ・パラナエンセ |
2試合合計 5-1 で パチューカ が決勝進出。 |
|
1st.Leg |
コロ・コロ |
2-1 |
トルーカ |
2nd.Leg |
トルーカ |
0-2 |
コロ・コロ |
2試合合計 4-1 で コロ・コロ が決勝進出。 |
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Quarto de Final 〜準々決勝〜
1st.Leg |
ラヌース |
0-3 |
パチューカ |
2nd.Leg |
パチューカ |
2-2 |
ラヌース |
2試合合計 5-2 で パチューカ が準決勝進出。 |
|
1st.Leg |
サン・ロレンソ |
3-1 |
トルーカ |
2nd.Leg |
トルーカ |
2-0 |
サン・ロレンソ |
2試合合計 3-3 、アウェイゴール倍付け で トルーカ が準決勝進出。 |
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1st.Leg |
コロ・コロ |
4-1 |
ヒムナシア・ラ・プラータ |
2nd.Leg |
ヒムナシア・ラ・プラータ |
0-2 |
コロ・コロ |
2試合合計 6-1 で コロ・コロ が準決勝進出。 |
|
1st.Leg |
ナシオナル・モンテビデオ |
1-2 |
アトレチコ・パラナエンセ |
2nd.Leg |
アトレチコ・パラナエンセ |
4-1 |
ナシオナル・モンテビデオ |
2試合合計 6-2 で アトレチコ・パラナエンセ が準決勝進出。 |
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Juego del torneo 〜決勝トーナメント1回戦〜
1st.Leg |
コリンチャンス |
0-0 |
ラヌース |
2nd.Leg |
ラヌース |
4-2 |
コリンチャンス |
2試合合計 4-2 で ラヌース が準々決勝進出。 |
|
1st.Leg |
サン・ロレンソ |
3-0 |
サントス |
2nd.Leg |
サントス |
1-0 |
サン・ロレンソ |
2試合合計 3-1 で サン・ロレンソ が準々決勝進出。 |
|
1st.Leg |
フルミネンセ |
1-1 |
ヒムナシア・ラ・プラータ |
2nd.Leg |
ヒムナシア・ラ・プラータ |
2-0 |
フルミネンセ |
2試合合計 3-1 で ヒムナシア・ラ・プラータ が準々決勝進出。 |
|
1st.Leg |
リーベル・プレート |
0-1 |
アトレチコ・パラナエンセ |
2nd.Leg |
アトレチコ・パラナエンセ |
2-2 |
リーベル・プレート |
2試合合計 3-2 で アトレチコ・パラナエンセ が準々決勝進出。 |
|
1st.Leg |
ナシオナル・モンテビデオ |
2-1 |
ボカ・ジュニオールス |
2nd.Leg |
ボカ・ジュニオールス |
2-1 |
ナシオナル・モンテビデオ |
2試合合計 3-3 、PK戦 3-1 で ナシオナル・モンテビデオ が準々決勝進出。 |
|
1st.Leg |
デポルテス・トリーマ |
2-1 |
パチューカ |
2nd.Leg |
パチューカ |
5-1 |
デポルテス・トリーマ |
2試合合計 6-3 で パチューカ が準々決勝進出。 |
|
1st.Leg |
トルーカ |
1-0 |
エル・ナシオナル |
2nd.Leg |
エル・ナシオナル |
0-2 |
トルーカ |
2試合合計 3-0 で トルーカ が準々決勝進出。 |
|
1st.Leg |
リーガ・デ・アラフエレンセ |
0-4 |
コロ・コロ |
2nd.Leg |
コロ・コロ |
7-2 |
リーガ・デ・アラフエレンセ |
2試合合計 11-2 で コロ・コロ が準々決勝進出。 |
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Juego del torneo 〜国別予選ラウンド〜
Argentina 〜アルゼンチン〜
1st.Leg |
サン・ロレンソ |
2-1 |
バンフィエール |
2nd.Leg |
バンフィエール |
0-0 |
サン・ロレンソ |
2試合合計 2-1 で サン・ロレンソ が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
ラヌース |
2-0 |
ベレス・サルスフィエール |
2nd.Leg |
ベレス・サルスフィエール |
0-1 |
ラヌース |
2試合合計 3-0 で ラヌース が勝ち抜け。 |
|
Brasil 〜ブラジル〜
1st.Leg |
バスコ・ダ・ガマ |
0-1 |
コリンチャンス |
2nd.Leg |
コリンチャンス |
3-1 |
バスコ・ダ・ガマ |
2試合合計 4-1 で コリンチャンス が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
サントス |
1-0 |
クルゼイロ |
2nd.Leg |
クルゼイロ |
1-0 (PK:4-3) |
サントス |
2試合合計 2-0 , PK戦 4-3 で サントス が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
ボタフォゴ |
1-1 |
フルミネンセ |
2nd.Leg |
フルミネンセ |
1-1 (PK:4-2) |
ボタフォゴ |
2試合合計 2-2 , PK戦 4-2 で フルミネンセ が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
パラナー |
1-3 |
アトレチコ・パラナエンセ |
2nd.Leg |
アトレチコ・パラナエンセ |
1-0 |
パラナー |
2試合合計 4-1 で アトレチコ・パラナエンセ が勝ち抜け。 |
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Chile y Peru 〜チリ&ペルー〜
1st.Leg |
ウアチパート |
1-2 |
コロ・コロ |
2nd.Leg |
コロ・コロ |
0-1 |
ウアチパート |
2試合合計 2-2 , アウェイゴール倍付けで ウニベルシダー・デ・カトーリカ が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
コローネル・ボロネージ |
1-0 |
ウニベルシダー・デ・サン・マルティン |
2nd.Leg |
ウニベルシダー・デ・サン・マルティン |
2-3 |
コローネル・ボロネージ |
2試合合計 4-2 で コローネル・ボロネージ が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
コローネル・ボロネージ |
2-1 |
コロ・コロ |
2nd.Leg |
コロ・コロ |
1-0 |
コローネル・ボロネージ |
2試合合計 2-2 、アウェイゴール倍付けで コロ・コロ が勝ち抜け。 |
|
Bolivia y Ecuador 〜ボリビア&エクアドル〜
1st.Leg |
ウニベルシターリオ・デ・スクレ |
2-2 |
ボリーバル |
2nd.Leg |
ボリーバル |
2-3 |
ウニベルシターリオ・デ・スクレ |
2試合合計 5-4 で ウニベルシターリオ・デ・スクレ が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
リーガ・デ・キト |
2-3 |
エル・ナシオナル |
2nd.Leg |
エル・ナシオナル |
1-1 |
リーガ・デ・キト |
2試合合計 4-3 で エル・ナシオナル が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
ウニベルシターリオ・デ・スクレ |
1-3 |
エル・ナシオナル |
2nd.Leg |
エル・ナシオナル |
2-1 |
ウニベルシターリオ・デ・スクレ |
2試合合計 5-2 で エル・ナシオナル が勝ち抜け。 |
|
Uruguay y Paraguay 〜ウルグアイ&パラグアイ〜
1st.Leg |
セントラル・エスパニョール |
0-1 |
ナシオナル・モンテビデオ |
2nd.Leg |
ナシオナル・モンテビデオ |
0-0 |
セントラル・エスパニョール |
2試合合計 1-0 で ナシオナル・モンテビデオ が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
リベルター |
3-1 |
セロ・ポルテーニョ |
2nd.Leg |
セロ・ポルテーニョ |
1-0 |
リベルター |
2試合合計 3-2 で リベルター が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
リベルター |
1-2 |
ナシオナル・モンテビデオ |
2nd.Leg |
ナシオナル・モンテビデオ |
2-1 |
リベルター |
2試合合計 4-2 で ナシオナル・モンテビデオ が勝ち抜け。 |
|
Colombia y Venezuela 〜コロンビア&ベネズエラ〜
1st.Leg |
デポルテス・トリーマ |
3-0 |
カラボボFC |
2nd.Leg |
カラボボFC |
3-1 |
デポルテス・トリーマ |
2試合合計 4-3 で デポルテス・トリーマ が勝ち抜け。 |
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1st.Leg |
ミネーロス・デ・グアジャーナ |
3-1 |
インデペンディエンテ・メデジン |
2nd.Leg |
インデペンディエンテ・メデジン |
1-1 |
ミネーロス・デ・グアジャーナ |
2試合合計 4-2 で ミネーロス・デ・グアジャーナ が勝ち抜け。 |
|
1st.Leg |
デポルテス・トリーマ |
0-0 |
ミネーロス・デ・グアジャーナ |
2nd.Leg |
ミネーロス・デ・グアジャーナ |
2-2 |
デポルテス・トリーマ |
2試合合計 2-2 、アウェイゴール倍付けで デポルテス・トリーマ が勝ち抜け。 |
|
Regulamento 〜レギュレーション〜
▼ 南米中の各国から優秀な成績を残したクラブチームが参加して行われるカップ戦。欧州に例えれば、さしずめ UEFAカップに相当するだろう。南米サッカー連盟 (CONMEBOL…読み方;コンメボル) が設立したもので、リベルタドーレスの敗者を含めた各国の上位チームが参加する。ブラジルやアルゼンチンからは6〜7チームが参加し、その他の南米諸国からはおおよそ2〜4チームほどに出場資格が与えられる。
▼ リベルタドーレスほどの権威はないが、スダメリカーナ制覇も南米では非常に高く評価される。ただ、この大会に関してはスダメリカーナの優勝クラブには、「レコッパ・スダメリカーナ」と呼ばれる大会で、リベルタドーレス王者と対戦する権利を得られる。ちなみに、レコッパ・スダメリカーナとは、欧州の UEFA スーパーカップ (チャンピオンズリーグ王者と、UEFAカップ王者が対戦するカップ戦) にあたるカップ戦である。
▼ まず、グループリーグをホーム&アウェイで戦い、その上位2チームが決勝トーナメントをホーム&アウェイで戦う。南米では唯一欧州と同じカレンダーで開催されるアルゼンチンの国内リーグを考慮した同大会は、8〜12月に行われる。
Historia 〜歴史〜
▼ スダメリカーナとは、スペイン語で Sudamericana と表記。この単語は、Sud (南) + Americana (アメリカ) の2つをミックスした造語であり、日本語に直訳すればコパ・スダメリカーナは「南米杯」の意味にとれる。その名が示す通り、同大会はその昔、長年「 コパ・コンメボル(CONMEBOL =南米サッカー連盟) 」と呼ばれていた。
▼ 長年続いたコパ・コンメボルは1999年を最後に解体、代わって南米大陸を南北に2分した形のカップ戦が始まる。これが、「コパ・メルコスール(スール=南という意味)」、「コパ・メルコノールテ(ノールテ=北という意味)」にあたる。だが、この中途半端な区分の大会は、わずか4年で消滅。これらを統合した形で、コパ・コンメボル形式として復活した南米大陸カップが、「コパ・スダメリカーナ」になった。
スダメリカーナ自体の歴史は2002年からと浅いが、それ以前に別の名称でカップ戦が行われていたことを考えれば、歴史が古いともとれるだろう。
◆ ちなみに、南米唯一のポルトガル語圏であるブラジルでは、「コパ・スダメリカーナ」とは呼ばずにポルトガル語で表記。「コパ・スウ・アメリカーナ」に呼ばれている。この場合、単語はポルトガル語で、Sul (南) Americana (アメリカ) になる。