Jogo 〜試合速報〜 優勝は審議待ち? お持ちの「テトラ・カンペオン」はお捨てにならぬよう… 第42節 ゴイアス 3-2 コリンチャンス ブラジル全国選手権は、12月4日に最終節 ( 第42節 ) が行われた。ゴイアス州ゴイアニアのエスタジオ・セーラ・ドウラーダで行われた ゴイアス×コリンチャンス は、ゴールの奪い合いを制したゴイアスが、ホームでの最終戦で有終の美を飾った。首位コリンチャンスは破れたが、2位のインテルナシオナウも破れたため、コリンチャンスのリーグ優勝が決定とみなされた。しかし、STJD による審議が入ったこともあり、試合直後に優勝の喜びを堪能するお馴染みのシーンは見られなかった。 試合は、ゴイアスがホームで意地をみせたことで、熱い戦いとなった。前半の主導権を握ったのは首位コリンチャンス。DFコエーリョが再三にわたってオーバーラップを仕掛けてチャンスメイクすれば、FWニウマールはFWテベスとの連携プレイで相手を翻弄するなど、首位の貫禄漂う試合運びでリズムをつくっていた。しかし、先制したのはゴイアスだった。前半ロスタイム、MFホドリーゴ・タバタのプレースキックをゴール前で受けたDFパウロ・バイエルが、角度のないところから鋭いシュートを突き刺してチームに先制点をもたらした。 ところが、後半も早々にコリンチャンスは同点に追いつく。50分、MFカルロス・アウベルト ( 元FCポルト ) がドリブルで切れ込み、DFアウド ( ゴイアス ) をフェイントでかわし、ゴール前にラストパスを供給。これを待ちかまえていたFWカルロス・テベスが左足で合わせて同点に追いついた。 ゴイアスは51分にMFジャジウソンが強烈なシュートをお見舞いしたが、これはGKファービオ・コスタの前に阻まれた。すると57分、中央で受けたFWカルロス・テベスがサイドに散らしたボールをMFホジネイがキープし空いたスペースにスルーパスを送ると、それをDFコエーリョが決めて逆転に成功。この瞬間、セーラ・ドウラーダに詰めかけたコリンチャーノは、スタンドで喜び狂い、おなじみの白い発煙筒を炊き始めた。 ところが、そこからゴイアスが反撃に転じ、69分にFWソウザが同点弾を決めると、84分には途中出場のFWホメーリットが難しい弾道のボールに反応して、値千金の決勝ゴールを奪取。試合は、宿敵の関係者もほくそ笑む、ゴイアスの逆転勝利でタイムアップを迎えた。ところが、負けた2位インテルナシオナウが上告し、それを受け入れた STJD が「結論の一時禁止命令」を発したことから、試合後に首位のクラブが優勝を祝うありふれた光景は見られなかった。 ゴイアスは今季、一時期首位に立つなどシーズンを通して好調を持続させたクラブのひとつだった。惜しくも優勝戦線に絡むことはできなかったが、八百長事件に関係なく74もの勝ち点を積み上げたこの成績は、十分評価に値する。ゴールを量産したFWソウザを初めとして、FWホニー、MFジャジウソンなど軸が安定していたのも好調の要因としてあげられるが、特筆すべきは日系三世の司令塔MFホドリーゴ・タバタだ。FWから2列目にコンバートされた今年は、10番という背番号に見合う活躍を随所に披露。得意のフリーキックからはゴールやアシストが何度も生み出された。名将ジェニーニョ監督も全幅の信頼を寄せており、MFジャジウソンとともに攻撃の核として、来年も強さを持続させるのは間違いない。コッパ・リベルタドーレスで躍動するゴイアスから目を離すな。 対して負けたコリンチャンスだが、最後まで優勝の権利を争っていた2位のインテルナシオナウが破れたことで、順位上は首位確定が濃厚となった。この日を以て全日程を終了したブラジル全国選手権。通常であれば、この試合の後で、優勝に酔う選手やファンの姿が拝めるところなのだが、STJD の命令等もあり、“首位のクラブの優勝が確定しない”という異様な事態が起こったのである。STJD の最終決定は翌日の午前中に下されるとのことで、それまで最終順位は確定しないことになった。 「コリンチャンスは優勝なのか?2位なのか?」という、先のジャパンカップ ( 競馬G1レース ) でデットーリ騎手が見せた心理と酷似した境遇に陥ったコリンチャンス。スタンドでは優勝を信じてやまないコリンチャーノが、試合終了後も「テトラ・カンペオン ( 4度目の優勝 ) 」と書かれたマフラーを誇示していた。 競馬場やWINSであれば、必ずや流れるであろうお決まりの場内アナウンス。これをブラジル全国選手権に例えるなら おそらくこうだ。 「ただいまのレースは、2番インテルナシオナウの進路が狭くなったことについて審議をいたしております。お持ちの勝ち馬投票券は、お捨てにならないようご注意ください…」 コリンチャーノは「テトラ・カンペオン」の栄光をお捨てにならぬようご注意あれ。 写真右上; 豊富な資金でチームを優勝へと導いた企業家キア氏 ( MSI社長 / 写真中央 ) 。即戦力への資金投資はお見事だったが、金でチームを変えたとして周囲の批判は依然根強い。
Partidos 〜試合結果〜 第42節 ( 2005年12月4日 )
Regulamento 〜レギュレーション〜 ▼ セリエA、セリエB、セリエCの3部構成。 ▼ 上半期に行われる州選手権とは全く独立した大会。 よって州大会で優勝してもその結果は全国選手権の部編成に何の影響も及ぼさない。 州ではチャンピオンを争うチームでも全国選手権では2部ということもある。 ▼ 1シーズン通年制で行われる。ホーム&アウェイの総当たりで、最終順位が決まる。 ▼ 4位以上は、コッパ・リベルタドーレス出場権を獲得。 5〜9位は、コッパ・スダメリカーナ出場権を獲得。 2005年は、セリエA の下位4チームがセリエBに降格。 Historia 〜歴史〜 ブラジルは1970年で既にW杯3回優勝を成し遂げていた。にもかかわらず統一された全国大会が存在しなかった。今でも根強い人気を誇っている州選手権だが、元々は各州選手権がブラジルサッカーの基盤になっていた。 そのなかでサンパウロ州とリオ・デ・ジャネイロ州が中心的存在としてブラジルサッカー界をリードして、その他のサッカーが盛んだった州、例えばミナス・ジェライス州、ヒオ・グランジ・ド・スウ州などが集まり大会を開くこともあった。 1970年頃、ブラジルは軍政時代で、国の統一や発展に力を入れていた。サッカー界にもその流れが及び、1971年初めて全国規模の Campeonato Brasileiro が誕生。第1回王者は、テレ・サンターナ監督率いるミナス・ジェライス州のアトレチコ・ミネイロだった。 伝統チーム、強豪チームをしてもなかなかチャンピオンには手が届かない。例えば、クルゼイロはリベルタドーレス杯やスーペルコッパという南米の国際大会での優勝経験はあるが、ブラジル全国選手権では2003年にようやくチャンピオンの座に就くことができた。国内で最もハイレベルな大会が ブラジル全国選手権 である。 2002年まではリーグ戦ののち、上位8チームで決勝トーナメントを争う形式がとられていたが、2003年から完全リーグ制に移行した。 | Clasificação 〜順位表〜 全日程終了 2005年12月4日
(左から 順位/勝ち点/チーム名) ※4位以上はリベルタドーレス出場権を獲得。 5〜9位は、スダメリカーナ出場権を獲得。 19位以下は、セリエBに降格。 Goleadores ※ 八百長事件に伴う変更あり
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