Copa NISSAN Sudamericana 2007 〜 コッパ・スダメリカーナ 2007 〜 執念の大逆転勝利! リーベルがボタフォゴを攻め落とす。
決勝トーナメント1回戦 2nd.Leg
リーベル・プレート 4-2 ボタフォゴ コッパ・スダメリカーナは、9月28日に決勝トーナメント1回戦 2nd.Leg が行われた。アルゼンチンは首都ブエノスアイレスのエル・モニュメンタルで行われた リーベル・プレート×ボタフォゴ は、リーベルが終盤にゴールを重ねて快勝した。リーベルは前節を 0-1 で落としていたが、この日の勝利で2試合合計 4-3 と逆転。準々決勝進出を決めた。 試合は序盤から動いた。ファーストシュートはリーベル。4分にFWオルテガがペナルティエリアでシュートを放ち、決まらなかったもののスタンドを湧かせた。先制したのはボタフォゴ。10分、左サイドで速攻を仕掛けると長短織り交ぜたパスワークでボールを右サイドへ運ぶと、DFジョイウソンのスルーパスに反応したMFトゥーリオが、右サイドを深くえぐってマイナス気味に折り返した。MFトゥーリオの緩いグラウンダーのクロスはペナルティエリアの誰もいない逆サイドに転がる。このボールをMFルッシオ・フラービオが後方から駆け上がってシュート。左足から放たれた強烈なシュートがファーサイドに突き刺さり、ボタフォゴがより優位に立った。 先制を許したことでリーベルは是が非でも勝たなくてはならない状況に陥ったが、嫌なムードを一人の男が吹き払う。31分、右サイドでボールをキープしたMFオルテガからのボールをDFパウロ・フェラーリが中央にクロス。これにFWラダーメル・ファルカオ・ガルシアがダイビングヘッドで合わせてゴール。前半を 1-1 で折り返した。 両軍の運命が決まる後半、次の1点を決めたのはボタフォゴだった。65分、FWドドーとのワンツーで裏に抜け出したMFジョイウソンがペナルティエリアに入ると、シュートの素振りを見せて中央に柔らかいパスを供給。これをFWドドーが右足でゴールに沈めて、重要な2点目のアウェイゴールをもたらした。 この時点で2試合合計スコアは、ボタフォゴ 3-1 リーベル (ボタフォゴにはアウェイゴール2点) 。55分にMFフェデリコ・ルッセノフが退場処分を喰らい一人少ないリーベルは、残り25分間で3点が必要という苦しい立場に追い込まれた。スタンドにもあきらめムードが漂い始めていた。だが、ここからリーベルが奇跡を起こしていく。まず73分に中盤まで下がってボールをもらったFWファルカオが強烈なミドルシュートでゴールネットを揺らして1点を返すと、その5分後には右サイドでMFオルテガが得意のフェイントで相手を揺さぶり中央にクロス。これにFWアンドレス・リオスが右足のインフロントで軽く合わせると、ボールはなだらかな弧を描いてゴールマウスに吸い込まれた。 これで2試合合計は 3-3 。なおもボタフォゴの優位は変わらず、リーベルは無我夢中に攻め続けていくが、ゴールを決めきれないまま時間だけが過ぎていった。90分が経過し、後半のロスタイムは3分。全員が自陣に戻って守備を固めるボタフォゴのゴールをこじ開けようと、リーベルは人数をかけて猛攻を仕掛けた。 ロスタイムが1分を経過した頃、リーベルの左サイドに流れたボールをDFヘナット・シウバがクリア。この直後、エル・モニュメンタルに劇的な瞬間が訪れた。左サイドの浅い位置でMFオルテガがMFアベライラスにスローイン。MFアベライラスがクロスをあげる素振りを見せてMFオルテガにボールを折り返すと、オルテガはタイミングを計ってゴール前にアーリークロスを供給。このボールにFWファルカオが高い打点からヘディングシュートをゴールに沈めた。ファルカオは自身のハットトリックを達成するとともに、チームの準々決勝進出を確定する4点目のゴールをもたらした。 タイムアップの瞬間、奇跡の大逆転勝利に熱狂するリーベルプラテンセの喜びようも尋常ではなかったが、後半ロスタイムのゴールをアシストしたMFオルテガにパサレラ監督が駆け寄って抱き合う場面も印象的であった。 主力の相次ぐ放出に資金不足とここ数シーズン歯車の狂い続けていたリーベルが、素晴らしい試合をサポーターに見せつけた。先制を許し、後半の早い時間帯には退場者も出すイヤな展開。FWドドー ( 元大分トリニータ ) に2点目を決められたときには、リーベルの敗退はほぼ確定と誰もが思ったはずだった。しかし、この日のリーベルには準々決勝進出に対する執念がみなぎっていた。MFオルテガの復調に、FWファルカオの高い得点力が丁寧に噛み合っての勝利。選手、パサレラ、そしてサポーターにとって忘れられない試合になったに違いない。 ボタフォゴにとっては信じがたい敗戦だ。FWドドーのゴールが決まった65分までは、確かにうまくゲームをつくっていた。3分の2以上の時間を支配していたのは間違いなくボタフォゴだった。試合後「この結果は簡単には受け入れられない」と語ったクッカ監督の言葉は、ボタフォゴに関わる全ての人たちが感じた共通の思いであろう。
写真右上; ハットトリックで敗退の危機からチームを救ったFWラダーメル・ファルカオ・ガルシア ( リーベル・プレート ) 。翌日の地元紙ではゴールを決めて雄叫びをあげる姿が一面に大きく掲載された。
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