Copa América 〜 コッパ・アメリカ 2007 〜 天才メッシが魅せた! アルゼンチン、メキシコとの大一番を制して決勝進出。
準決勝 メキシコ 0-3 アルゼンチン
コッパ・アメリカはベネズエラのプエルト・オルダスで準決勝が行われた。エスターディオ・ミネーロスで行われた メキシコ×アルゼンチン は、FWリオネル・メッシの芸術的なループシュートも決まるなど終始試合をリードしたアルゼンチンが快勝。決勝進出を決めた。 試合は、開始から押したアルゼンチンが11分にMFベロンのロングパスから右サイドを上がったMFサネッティがペナルティエリアに侵入してシュート。メキシコも13分にDFラファエル・マルケスのフリーキックで相手ゴールを脅かした。アルゼンチンは20分にFWテベスが前線をドリブルでかき回してシュート。しかしメキシコは34分にペナルティエリアでMFグアルダードがフェイント。相手2人を翻弄すると、左足でシュートを放った。これは惜しくもゴールポストに当たって枠外に消えたためノーゴールとなったが、メキシコはアルゼンチン相手でも積極的に攻めた。 一進一退の白熱した攻防が繰り広げられた前半は、44分に動いた。カウンターからドリブルで相手の最終ラインを突破しようと試みたMFリケルメが倒され、アルゼンチンはミドルレンジでフリーキックのチャンスを得る。キッカーのMFリケルメはここで直接狙う素振りをみせながら、相手の裏のスペースにボールをフィード。これに素早く反応したDFガブリエル・エインセがGKサンチェスの目の前でジャンピングボレーシュート。左足のアウトサイドで巧みに当てたボールは、無人のゴールに転がっていった。アルゼンチンは、前半の終了間際に先制点をマークした。 後半、アルゼンチンは50分にFWリオネル・メッシがペナルティエリアで足をかけられたが、主審はシミュレーションとみなしてメッシにイエローカードを出す。PKのチャンスを不意にされたアルゼンチンに対し、メキシコは54分に味方のパスでゴール前に飛び出したFWネリ・カスティージョがクロスバー直撃のボレーシュートで決定機をつくった。 どちらも主導権を握りきれずに60分が経過したそのとき、メッシが才能の片鱗を惜しげもなく披露した。DFエインセのフィードを前線でトラップしたFWテベスが体をひねりながら前方にスルーパス。右から走り込んだFWメッシは、ペナルティエリアでトラップするや否や、GKサンチェスの位置を見計らって左足でふわりとボールを浮かせた。これがGKサンチェスの頭上を越えてゴールに吸い込まれた。メッシの鮮やかな芸術弾でリードを広げたアルゼンチンは、その3分後にFWテベスが倒されて得たPKをMFリケルメが、GKサンチェスをあざ笑うかのようにゴール中央に柔らかいシュートを決めて 3-0 と突き放した。優勝候補同士の大一番は、アルゼンチンが制した。 グループリーグ初戦でブラジルを破り、一躍優勝候補に名乗りをあげたメキシコ。国内外から蒼々たるタレントを揃えたが、それでもアルゼンチンには歯が立たなかった。複数の決定機もゴールポストやクロスバーに嫌われるなど不運によるところは多分にあったが、重要な試合であと一歩及ばないのはきっとアルゼンチンとの間にある「ミエナイチカラの差」だ。これでメキシコは3位決定戦に回ることとなったが、それでも今大会においてトップクラスのパフォーマンスを披露したのは事実。素直に彼らの健闘をたたえよう。 一方アルゼンチンは 3-0 で快勝したが、うち2点はセットプレイとPK。流れの中からゴールを奪ったのはメッシのゴールだけだったが、このゴールが実にファンタスティックだった。DFエインセがボールをフィードした瞬間、メッシは突然DFファウスト・ピントの視界から消えるとFWテベスのトラップとほぼ同時に前線のスペースに飛び出し、シュートを警戒して前がかりになったGKオスワルド・サンチェスの位置を確認するや否や、一瞬の判断でループシュートを狙った。ゴールに吸い込まれたボールの軌道も、あたかもテレビゲームのような綺麗な"弧"であった。おそらく、このゴールは後世にも語り継がれることだろう。 クレスポの負傷離脱も気にならないほど強い今大会のアルゼンチン。ブラジルとの決勝はどのような戦いになるのだろうか。
写真右上; 前半の終了間際に先制ゴールを決めて大喜びのDFガブリエル・エインセ ( アルゼンチン / 右 ) 。左はDFロベルト・アジャラ ( 2番 ) 。
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