Mundial Sub-20 Canada 〜 U-20ワールドカップ 2007 〜 底知れぬユース世代の底力を証明。アルヘンティーナが大会連覇達成!
決勝 チェコ 1-2 アルゼンチン
現在カナダで開催中のU-20ワールドカップは、6月22日に3位決定戦と決勝が行われた。トロントのナショナル・スタジアムで行われた決勝の チェコ×アルゼンチン は、終盤にFWマウロ・サラテのゴールで逆転したアルゼンチンが大会連覇を達成した。 試合は、開始40秒にスパイクの裏を見せて相手を削ったDFクバンにいきなりイエローカードが飛び出し、荒れ模様の様相を呈する立ち上がりとなる。素早くボールをつないで攻撃を組み立てるアルゼンチンは、巧みにファウルをもらってはセットプレイからチャンスメイク。アルゼンチンは流れの中からもゴールを狙おうとするが、チェコの最終ラインはがっちり守って相手のシュートチャンスをつぶしにいった。すると10分、チェコはフリーキックのこぼれ球をゴール正面でDFマレク・スチーがシュート。GKセルヒオ・ロメーロの右足を弾いたボールはゴールポストに当たりノーゴール。チェコは大きなチャンスをつくったが、先制点を得るには至らなかった。 やや押されていたアルゼンチンは、22分にDFエミリアーノ・インスーアのフィードから、右サイドでMFマキシミリアーノ・モラーレスがトラップで一人を抜いてペナルティエリアへ。ゴール前のFWアグエロに合わせようとしたボールは相手にクリアされたが、アルゼンチンも徐々に"らしい"プレイを見せていった。しかし、試合そのものは降着状態が続き、前半は 0-0 。両者無得点でハーフタイムを迎えた。 後半は開始から一進一退の攻防が繰り広げられ、中盤でも激しいボールの奪い合いが見られた。そんな中果敢に相手陣内で試合を進めたチェコは60分、右サイドでボールをつなぐと、ペナルティエリアで味方のパスをトラップしたFWマルティン・フェニンが上半身をひねりながら左足でボレーシュート。これがゴール左隅に突き刺さり、チェコが試合を動かした。 この先制点でチェコは勢いに乗るかと思われたが、アルゼンチンはその2分後にMFエベル・バネーガのスルーパスにFWセルヒオ・アグエロが反応。フリーでペナルティエリアまで侵入するとGKペトルの動きをよく見てシュート。ニアに転がしてすぐさま同点とした。 1-1 としてからはアルゼンチンが勢いを取り戻し、80分にはMFラウターロ・アコスタを投入。攻撃の姿勢を崩さない。一方疲れの見え始めたチェコは83分に長身のFWペカルトを投入。パワープレイに備えた。しかしチェコの劣勢、アルゼンチンの優勢は変わらず、アルゼンチンは86分にMFマキシミリアーノ・モラーレスのフィードをMFアコスタが反応。角度のないところから決定的なシュートを放った。GKペトルが弾いてコーナーキックを得たアルゼンチンは、ここからの仕掛けが早かった。MFマキシミリアーノ・モラーレスがショートコーナーでFWマウロ・サラテにボールを渡すと、サラテは左サイドからドリブルでペナルティエリアに侵入すると、瞬時に右足を振り抜いた。これがGKペトルの手を弾いてニアに決まり、アルゼンチンが逆転に成功。結局これが決勝点となり、アルゼンチンが接戦を制した。 日本、スペインと強豪どころを接戦の末下して決勝に辿り着いたとき、チェコ代表はすでに満身創痍であった。試合開始にはFWフェニンを筆頭に「疲れはない」「あと1試合だけだから関係ない」と強がる発言も聞かれた。その言葉通り、チェコはタレント揃いのアルゼンチンと互角に渡り合った。1点差で敗れたが、内容はほぼ互角だった。終盤までスタミナがもたなかったのは悔やまれるところだが、この世代で同国史上初のファイナル進出まできたのだから、充分胸を張っていい。 一方アルゼンチンにとってこの決勝戦は、おそらくこの大会で最も苦しめられた試合であった。とくに前半は思い通りにいかず、チェコの守備をどう崩すかで頭を悩ます時間もあった。先制された直後にFWアグエロのゴールで同点とした後は相手を圧倒したが、ゴールは遠かった。 苦しい状況を打破したのはFWローランド・サラテの弟であるFWマウロ・サラテ。兄貴顔負けの一撃は、普段ベレスで披露している得意の角度からのシュート。4試合ぶりにサラテを起用したトカッリ監督の采配が勝利をもたらしたと言っては結果論でしかないが、サラテの起用がチームを優勝に導いたと言っても過言ではない。かつては「デルピエロ・ゾーン」として有名だったこの角度はサラテにとっても十八番。ベレスで見せている豪快なシュートを、そのまま U-20 の決勝でも披露してチームの優勝を引き寄せた。 大会毎に面子が変わる U-20 代表で、しかもボールのバウンドを予測しづらい人工芝の敷かれたピッチで連覇を成し遂げたアルゼンチン。メッシを擁した前回大会も世界を楽しませたが、今回の優勝メンバーもまた、遠くない将来に活躍が期待できる選手ばかりだ。 なお、この大会でFWセルヒオ・アグエロ ( アトレティコ・マドリー所属 ) は得点王とMVPを受賞。3ゴールを決めたMFマキシミリアーノ・モラーレスも評価を上げている。また、試合中のラフプレイがきわめて少なく、ゴールパフォーマンスでは時代劇や『ドラゴンボール』のモノマネなどで若々しさ・可愛らしさを見せた U-20日本代表には、FIFA からフェアプレイ賞が授与された。
写真右上; 決勝で同点ゴールをゲット。得点王とMVPに輝いたFWセルヒオ・アグエロ ( アルゼンチン ) 。
▼U-20 ワールドカップ 表彰式
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