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Copa TOYOTA Libertadores 2007 〜コッパ・リベルタドーレス〜

超満員のラ・ボンボネーラは歓喜のるつぼに。ベレスは守護神の"ハイキック"で自滅。
決勝トーナメント1回戦 1st.Leg ボカ・ジュニオールス 3-0 ベレス・サルスフィエール

 コッパ・リベルタドーレスは、5月2〜3日に決勝トーナメント1回戦の 1st.Leg が各地で行われた。アルゼンチンは首都ブエノスアイレスのエスターディオ・ホセ・アマルフィターニで行われた ボカ・ジュニオールス×ベレス・サルスフィエール は、MFファン・ロマン・リケルメの先制ゴールを皮切りに3点を奪ったボカが快勝。準々決勝進出に向けて大きく前進した。

 試合は、開始からボカが主導権を掌握。まず7分に最終ラインからのロングボールにFWパラッシオが反応。ゴール前に抜け出すと飛び出したGKガストン・セッサの頭上を越えるループシュートでゴールを決めたが、線審がパラッシオのオフサイドをとったため、このゴールは取り消される。
 しかし、なおも攻め続けたボカは10分に先制。MFパブロ・レデスマのパスをMFネリ・カルドーソがスルー。右に開いたFWパラッシオの足元にボールが落ち着くと、パラッシオはフェイントで少し前進してシュートを放ったが、ボールは相手の下半身に当たる。ところが、このボールの処理にもたついている一瞬のスキにFWパレルモが後方からボールを奪いとり、ペナルティエリアの左側でフリーになっていたMFリケルメにパスを出した。これをダイレクトで右足のインフロントにうまく当てたMFリケルメは、ゴール右上の隅にシュートを突き刺した。天才の右足が魅せた美しいゴールだった。

 その後もボカは立て続けに攻め、15分にはMFリケルメのスルーパスからMFネリ・カルドーソ、FWパラッシオとボールをつなぎ、左側でフリーになっていたFWパレルモがフリーでシュート。GKガストン・セッサが身を挺してこれを阻んだが、ボカの攻撃陣は自由で華麗なパスワークで完全に相手を翻弄していった。
 そして25分、防戦一方のベレスに追い打ちをかけるアクシデントが発生してしまう。DFクレメンテ・ロドリゲスが自陣から高く蹴り上げたボールがベレスのゴール前に飛んでいくと、ボールの落下点でGKガストン・セッサが飛び上がりながらボールを慎重にキャッチした。ところが、このとき飛び上がったGKガストン・セッサは右足を必要以上に高く上げていたため、そこに走り込んでいたFWパラッシオの額を蹴ってしまった。FWパラッシオが額を押さえてうずくまると、エクトール・バルダッシ主審はGKガストン・セッサにレッドカードを提示した。GKセッサ自身は「ジャンプしたときに偶然足が上がっただけ」と主張したが、セッサが故意に"ハイキック"をしたのは誰の目にも明らかだった。
 この判定を受けてベレスのイレブンは主審に詰め寄ってレッドカードを取り消すよう激しく抗議したが、判定は覆らずGKセッサの一発退場が確定。すると、この判定に納得のいかないFWマウロ・サラーテが主審の目の前でふてくされながらボールを蹴り上げ、サラーテは主審から余計なイエローカードをもらってしまう。ベレスのリカルド・ラボルペ監督 ( 元メキシコ代表監督 ) は、イエローカードを出されたFWサラーテを早々と下げて、控えキーパーのGKセバスティアン・ペラッタを投入。幸い、この一連のファウルで得たPKをFWパレルモが枠の外に外したため、ベレスはいきなりの失点は免れたが、早い時間に窮地に立たされたのであった。

 1-0 で迎えた後半、1人少ないベレスを相手にボカの猛攻が続く。まず47分にFWパラッシオがボレーシュートであわやゴールかというシーンを作り出すと、61分にMFレデスマが右サイドからゴール前に入れたクロスにFWパレルモが頭で合わせて2点目を奪取。そして89分には、左サイドでボールキープしたMFリケルメが右足のアウトサイドで軽く流したスルーパスにDFクレメンテ・ロドリゲスが反応。ドリブルで内へ切れ込むと、鋭いシュートをニアに沈めてトドメを刺した。

 ボカにとってきわめて理想的な結果となった。グループを2位で通過し、抽選でベレスと当たったとき、ボカのマウリシオ・マクリ会長は「昨年リーグ戦では勝っているが、あなどれない相手」とベレスを警戒していた。だが、いざ試合が始まってみるとチームとしての総合力では相手のはるかに上をいっていたボカ。会長の不安は杞憂でしかなかった。FWパラッシオはゴールこそなかったが、額を蹴られても90分間フル出場を果たし、随所で良い仕事をこなしていた。MFレデスマは攻守のつなぎ役を全うし、MFリケルメは1ゴール1アシストと大活躍。DFクレメンテ・ロドリゲスとDFウーゴ・イバーラを使ったサイドからの組み立てもスムーズだった。アウェイゴールを与えずに3点差をつけたこの勝利の価値は高い。次節を待たずして、ボカの準々決勝進出はほぼ確定したとみていいだろう。

 一方ベレス・サルスフィエールは、前線にボールが渡っても相手につぶされる場面が目立ち、自分たちのリズムで攻撃を組み立てることができていなかった。25分にはハイキックでGKガストン・セッサが退場。得点源であるFWマウロ・サラーテをベンチに下げざるをえなくなり、攻め手を欠いて反撃の糸口もつかめなかった。結論から言えば、ベレスは相手の上をいくサッカーができなかったというよりも、単に自滅したに過ぎない。ここまでチームを何度も救ってきたGKセッサを欠いて臨む次節。いくらホームと言えども、3点差をひっくり返す余力が今のベレスにあるとは思えない。

 写真右上; 10分に鮮やかなシュートで先制のゴールを決めたMFファン・ロマン・リケルメ ( ボカ・ジュニオールス ) 。耳に手を当ててサポーターの歓声をあおる。
 写真左下; 61分に2点目のゴールを頭で決めたFWマルティン・パレルモ ( ボカ / 上 ) は、MFリケルメ ( 下 ) に抱きかかえられながら超満員のスタンドに自らをアピール。


コッパ・リベルタドーレス 2007 決勝トーナメント1回戦 1st.Leg (02/05/2007)
ボカ・ジュニオールス 3-0 ベレス・サルスフィエール
マウリシオ・カランタ GK ガストン・セッサ
ウーゴ・イバーラ
クラウディオ・モレル・ロドリゲス
マティアス・シルベストレ
クレメンテ・ロドリゲス
DF マリアーノ・ウグレシッチ
マキシミリアーノ・ペジェグリーノ
エルナン・ペジェラーノ
マルセーロ・ブスタマンテ
パブロ・レデスマ
エベル・バネーガ
ネリ・カルドーソ
ファン・ロマン・リケルメ
MF マキシミリアーノ・ブストス
マリオ・メンデス
イバン・モレーノ・イ・ファビアネッシ
( アレハンドロ・カブラル )
ダミアン・エスクデーロ
( エミリアーノ・パパ )
ロドリーゴ・パラシオ
マルティン・パレルモ
( マウロ・ボセーリ )
FW ルーカス・マルティン・カストロマン
マウロ・サラーテ
( セバスティアン・ペラッタ )
ファン・ロマン・リケルメ 10
マルティン・パレルモ 61
クレメンテ・ロドリゲス 89
ゴール
エベル・バネーガ
ロドリーゴ・パラシオ
クラウディオ・モレル・ロドリゲス
パブロ・レデスマ
イエロー
カード
マウロ・サラーテ
ルーカス・カストロマン
マリオ・メンデス
マキシミリアーノ・ペジェグリーノ
マキシミリアーノ・ブストス
セバスティアン・ペラッタ
レッド
カード
ガストン・セッサ
ミゲル・アンヘル・ルッソ 監督 リカルド・ラボルペ
主審; エクトール・バルダッシ ( アルゼンチン )
スタジアム; ラ・ボンボネーラ ( ブエノスアイレス )
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