Copa TOYOTA Libertadores 2007 〜コッパ・リベルタドーレス〜 試合の流れを変えた天才ドリブラー、移籍後初戦でサンパウロに勝利をもたらす。
決勝トーナメント1回戦 1st.Leg サンパウロ 1-0 グレーミオ
コッパ・リベルタドーレスは、5月2〜3日に決勝トーナメント1回戦の 1st.Leg が各地で行われた。ブラジルはサンパウロのモルンビーで行われた サンパウロ×グレーミオ は、サンパウロがDFミランダの先制ゴールを守りきって勝利した。 試合は、序盤ボールを支配したグレーミオがまず10分にFWトゥッタの落としたボールをMFチェコがミドルシュート。ボールは枠外に逸れたが、早速決定機をつくったグレーミオは、15分にはMFジエーゴ・ソウザが左サイドからドリブルで3人をかわしてシュート。GKホジェーリオ・セーニに弾き返されたが、グレーミオはその後もMFジエーゴ・ソウザが鋭いミドルシュートでゴールを狙うなど、良いリズムで攻めていた。守勢にまわったサンパウロは21分にFWアロイージオがMFソウザのパスをシュートまで持ち込むが、相手の堅い守備の前に跳ね返されてしまう。前半は明らかにグレーミオが主導権を握って試合を進めていた。 ところが後半、アトレチコ・パラナエンセから加入したFWダゴベルトを投入したサンパウロは、一転して主導権を引き寄せた。57分にはMFウーゴとMFジョズエの連携できわどいシュートを放つと、この攻撃で得たコーナーキックからサンパウロが先制に成功する。58分、MFソウザの右コーナーキックがファーサイドに流れると、これをFWダゴベルトが拾って苦手な右足のアウトサイドでDFミランダにパス。DFミランダは右足のインサイドキックで丁寧にゴールのニアサイドを狙ってシュートを放ち、ゴールネットを揺らせた。 先制したことで余裕が生まれたサンパウロは、その後MFジョズエやMFソウザを起点とする攻撃でしばしば相手ゴールを脅かす。74分にはMFソウザのアーリークロスを、飛び出したFWダゴベルトがスライディングボレーシュートでゴールネットを揺らす。線審がFWダゴベルトのオフサイドをとったためこのゴールは無効となったが、サンパウロは攻撃の形をしっかりとつくれていた。結局サンパウロは相手に攻撃の機会を与えず、攻め続けて1点差のリードを守りきった。 序盤押し込まれていたサンパウロを救ったのは、アトレチコ・ミネイロから獲得したばかりの天才ドリブラーFWダゴベルトだった。ダゴベルトは当初コンディション調整の兼ね合いからブラジル全国選手権で移籍後の初戦を迎える予定になっていたらしいが、調整が思いのほか順調に進んだことからムリシ・ハマーリョはこの決勝トーナメントの初戦にダゴベルトを帯同。そしてハーフタイムに彼の投入を決意した。後半からピッチに登場したFWダゴベルトは、周囲とうまく連携をとってチームに良いリズムを与えた。とりわけMFソウザとの連携の良さが際立っており、 ソウザ-ダゴベルト のホットラインがサンパウロの新たな攻撃のオプションにもなりうる可能性をうかがわせた。とにかく相手に点を与えず勝てたのだから、優位に立てたことに変わりはない。 一方グレーミオは、相手のリズムが悪かった序盤に何度も決定機をつくり、一時は試合をリードしていた。主導権を握っているうちにゴールを決められず、しかも自分たちのリズムを最後まで保てなかったことで、結果的に後半の悪い流れをつくってしまったのかもしれない。しかし、彼らの攻撃のリズムが90分もたない一番の理由は、MFルーカス ( U-20ブラジル代表 ) の不在に尽きる。ルーカスが左大腿部を負傷してからまもなく1ヶ月が経つが、とうとうリベルタドーレスの決勝トーナメントまでに復帰することは叶わなかった。ルーカスのいないグレーミオは、強敵と当たったときに苦しい戦いを強いられる。差は1点しかないが、次節オリンピコで逆転勝利をおさめることができるか。注目だ。
写真右上; 58分、ダゴベルトのパスをゴールに沈めて喜ぶDFミランダ ( サンパウロ / 右 ) 。
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