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Copa do Mundo del Clubs 2006 〜 FIFA世界クラブ選手権2006 〜

チーム一丸でバルサを完封。インテルナシオナウ、悲願の世界制覇!
決勝 インテルナシオナウ 1-0 バルセロナ

 世界一のクラブ王者を決める大会 FIFAクラブ・ワールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジャパン 2006は、12月17日に決勝が行われた。横浜市港北区の日産スタジアムで行われた インテルナシオナウ×バルセロナ は、終盤にワンチャンスをものにしたインテルナシオナウが激闘を制した。
 リベルタドーレス優勝後FWハファエウ・ソービスにMFチンガと主力を多数放出しながら目立った補強もせず、それでも優勝候補筆頭のバルセロナを破って悲願の世界一を成し遂げたインテルナシオナウ。昨年頂点に君臨したサンパウロに続いて、今年もまた南米のクラブチームが世界一の称号を手に入れた。

 67,000人を超える大観衆が見守る中で行われた頂上決戦は、開始40秒でFWホナウジーニョ・ガウーショがロングパスを繰り出し、バルセロナが攻撃の口火を切る。対するインテルナシオナウは3分を過ぎたあたりからボールをつなぐようになり、6分にはMFエジーニョ、8分にはFWフェルナンドンがそれぞれミドルシュートを放って攻撃の形をつくっていった。12分には右コーナーキックにFWアレシャンドレ・パトが頭で合わせたがボールはクロスバーの上に逸れる。バルセロナもその直後に右から崩してFWホナウジーニョ・ガウーショがヘディングシュート。時間の経過とともに相手ゴールに迫る場面が増えていった。
 前半の大きな山場は19分。右サイドから中に切れ込んだMFイニエスタのパスからMFファン・ブロンクホルストがミドルシュート。GKクレーメルが弾いたセカンドボールにFWホナウジーニョが詰めたが、シュートは枠外に逸れた。さらにそのコーナーキックから再び相手ゴールに迫ったが、バルサの波状攻撃はコロラドの堅守を打ち崩すには至らなかった。前半は相対的にバルセロナが自分たちのリズムで攻めたが、0-0 でハーフタイムに突入した。

 後半も立ち上がりを支配したバルセロナは右サイドからチャンスメイク。しかしインテルナシオナウも負けじと53分から何度か相手ゴールに迫る攻撃を展開した。依然として攻め続けたバルサは、73分には右からのクロスにFWグジョンセンが飛びこみ、74分にはMFデコのスルーパスに途中出場のMFシャビが飛び出してシュート。さらに75分にはMFデコのショートコーナーをFWジュリが強引にシュートに持ち込んだが、いずれもゴールに結びつかず、バルサは複数回つくった決定機を一度もものにできず、もどかしさだけが募っていった。
 そして両チーム無得点のまま迎えた82分。保たれていた均衡が破れた。カウンターから前線でボールをもらったFWイアルレイが意表を突くフェイントで近づいたDFプジョールを翻弄。プジョールと一定の間を保ちながら味方の攻撃参加を待つと、後方からゴール正面に突進したMFアドリアーノにパスを出した。ボールはインターセプトのタイミングが狂ったDFベレッチが伸ばした脚には当たらず、MFアドリアーノの足元におさまった。アドリアーノは最初のタッチで前方にボールを転がすとすかさず右足でシュート。飛び出したGKバルデスの両手を弾き飛ばしたボールは、そのままゴールマウスに吸い込まれた。インテルナシオナウが、バルセロナから先制ゴールを奪ってみせた。湧き上がるコロラドたちを呆然と見つめるバルサのイレブンは、悪夢でも見たかのように悲壮感を顔に漂わせていた。
 後がなくなったバルセロナはここから怒濤の猛反撃を開始。83分にMFデコが鋭いミドルシュートを放ったがGKクレーメルがファインセーブ。86分にはゴール正面で得たフリーキックをFWホナウジーニョが直接狙ったが、シュートはゴールポストのわずかボール1〜2個分だけ左に逸れてゴールネットは揺れなかった。後半ロスタイムに突入すると、インテルナシオナウは相手陣内でボールキープに徹してひたすら時間を浪費。それでも相手からなかば強引にボールを奪ったバルサは93分に攻め込むと、FWホナウジーニョの浮き球のパスにMFイニエスタが詰めたが、GKクレーメルが勇気ある飛び出しでキーパーチャージの判定を喰らった。
 そして…。横浜のピッチに試合終了のホイッスルが鳴り響いた瞬間、インテルナシオナウの世界一が確定。インテルナシオナウのベンチからは選手、スタッフらが一斉に飛び出し、立ちつくすバルサの選手たちを尻目に優勝の喜びを全身で表現していた。そこでは、コロラドの勝利を信じ続けた人たちの幸せな悲鳴と、沈黙したバルサのスペクタクルに落胆するどよめきが入り交じっていた。

 インテルナシオナウは、戦前から各メディアに「ホナウジーニョ徹底マーク」や「守備重視からのカウンター」と自ら暴露。しかし手の内を見せながらも勝算を公言するなど自信も見せていた。そんな彼らに対して、世間は3日前にクルブ・アメリカから4点を奪ったバルサに本当に勝てるのかと疑心暗鬼だった。下馬評では圧倒的な不利だった。ところが、それは試合に臨む選手らにとっては逆にプレッシャーを受けず気負いなく試合に臨むきっかけとなった。かつてコロラドをこてんぱんに叩いていたFWホナウジーニョ・ガウーショ ( 元グレーミオ ) が対戦相手の中心選手だったことも、彼らの勝利の意欲を仰いだのかもしれない。
 この試合では攻撃的なエクアドル人DFイダルゴでなく、DFフーベンス・カルドーソをスタメンに抜擢したアベウ・ブラーガ。意思疎通の円滑化を図り、バルサの凄まじい攻撃を徹底的に押さえ込むことに重きを置いていた。その結果、サイドから崩すシーンは少なくバルサには何度もつけ込まれたが、ドリームチームのスペクタクル封じには見事に成功。80分以上失点を許さず耐えたことがMFアドリアーノの1点を誘発したのだろう。また、2人のアドリアーノのようにこの日も途中出場の選手が勝利に貢献。アベウ・ブラーガ監督の計画的な采配を見過ごすわけにはいかない。そして、前線で攻撃の起点として奮闘したFWイアルレイの存在も無視はできない。 この世界一はクラブ史上初の快挙。コロラドにとって12月17日は忘れられない記念日になったに違いない。

 一方、敗れたバルセロナは主審のジャッジによる不利も多少あったが、多角的に考察すれば敗れるべくして敗れたのかもしれない。試合を通して鮮烈かつ多彩な攻撃を展開していたのは明らかにバルサで、スタンドに詰めかけた観客のほとんどはバルセロナのファンタジーに期待を膨らませていた。MFホナウジーニョ・ガウーショ、MFデコ、MFモッタといったブラジル出身の選手を軸にして可能性を感じさせる攻撃を展開。何度もスタンドをうならせたが、皮肉にもゴールを祝福する歓声を浴びる機会は一度もなく、エンジと青のユニフォームに届いたのは溜息ばかり。中3日の強行日程もチームにとってマイナスだったのかもしれないが、FWエトーとFWメッシが五体満足だったら違った結果がもたらされていた可能性もあろう。バルセロニスタにとっては悔やみきれない日になってしまった。

 写真右上; 強敵バルセロナを破って世界一に輝いたインテルナシオナウ。
 写真左上; 攻守に幅をきかせたFWフェルナンドンは、FWホナウジーニョ・ガウーショ ( 右 ) に対しても積極的な守備をみせた。
 写真右中; 82分に値千金の決勝ゴールを決め、声を張り上げて喜ぶMFアドリアーノ ( インテルナシオナウ ) 。
 写真左下; MFジュリの寄せを振り切るFWイアルレイ ( インテルナシオナウ / 左 ) 。大会を通じてMVP級の活躍を見せつけた。
 写真右下; 表彰式でトロフィーにキスするFWフェルナンドン ( インテルナシオナウ ) 。右で喜んでいるのは17歳の新鋭FWアレシャンドレ・パト。


FIFAクラブ・ワールドチャンピオンシップ トヨタカップ ジャパン 2006 決勝 (17/12/2006)
インテルナシオナウ 1-0 バルセロナ
クレーメル GK ビクトール・バルデス
セアラー
インジオ
ファビアーノ・エウレル
フーベンス・カルドーソ
DF ジャンルカ・ザンブロッタ
( ベレッチ )
カルロス・プジョール
ラファエル・マルケス
ジョバンニ・ファン・ブロンクホルスト
ウェウリントン・モンテイロ
エジーニョ
アレックス
( ファビアン・バルガス )
MF イニエスタ
チアーゴ・モッタ
( シャビ・エルナンデス )
デコ
イアルレイ
フェルナンドン
( アドリアーノ )
アレシャンドレ・パト
( ルイス・アドリアーノ )
FW ルドビック・ジュリ
エイドゥール・グジョンセン
( エスケーロ )
ホナウジーニョ・ガウーショ
アドリアーノ 82 ゴール
インジオ
アドリアーノ
イエロー
カード
チアーゴ・モッタ
アベウ・ブラーガ 監督 フランク・ライカールト
主審; カルロス・バトレス ( グアテマラ )
スタジアム; 日産スタジアム ( 神奈川県横浜市港北区 )
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