Copa TOYOTA Libertadores 2006 〜コッパ・リベルタドーレス〜 ベイラ・ヒオに27年ぶりの栄冠! インテルナシオナウが南米の頂点に君臨。
決勝 2nd.Leg インテルナシオナウ 2-2 サンパウロ
コッパ・リベルタドーレスは、8月16日に決勝の 2nd.Leg が行われた。ポルト・アレグレのエスタジオ・ベイラ・ヒオで行われた インテルナシオナウ×サンパウロ は、互いに2点を取り合っての引き分け。この結果、2試合合計 4-3 でインテルナシオナウが悲願の優勝を果たした。 試合は、逆転優勝を狙うサンパウロがボールを支配。2分にゴール前まで攻め込むと、6分にはゴール前のクロスをフリーになっていたDFディエーゴ・ルガーノがジャンピングボレー。決定的なシーンだったが、ルガーノのシュートは浮いてしまいサンパウロは先制のチャンスを逃した。序盤攻められていたインテルナシオナウも8分頃から体制を立て直すと、13分にはMFアレックスのスルーパスをFWフェルナンドンがシュート。GKホジェーリオ・セーニが冷静に処理したが、立ち上がりから両者ともに積極的に攻め、激しいチャージも連発するタイトな試合になった。 ところが、17分頃にハプニングが勃発。スタンドで炊かれた発煙筒の煙が充満して視界不良となったため、エリソンド主審が一時試合を中断した。煙が消えるまで選手たちは待たされるはめになった。 約5分の中断を経て再開されても、主導権はサンパウロが握った。24分にはヒカルド・オリベイラの代役として出場しているFWアロイージオが遠めの位置からミドルシュートを放ち、積極的な姿勢をみせた。だが、試合は思わぬ形で動いた。30分、MFジョルジ・ワグネールのクロスをゴール前でGKホジェーリオ・セーニが接触もないのにファンブル。不用意なミスでホジェーリオ・セーニの手からこぼれたボールはDFエジカルロスが足を伸ばして横にボールを流したが、このボールを先に蹴ったのはDFファボンではなくFWフェルナンドンだった。フェルナンドンは右足を伸ばして無人のゴールにボールを突き刺した。先制点はインテルナシオナウに転がった。 中断によって5分もとられた前半ロスタイムでは、46分にインテルナシオナウがセットプレイからDFインジオがクロスバーに当たるヘディングシュートを放つ。一方のサンパウロは先制されて以降攻めあぐね、良い形をつくれず。1-0 とインテルナシオナウのリードで前半を終えた。 後半は、立ち上がりにインテルが攻め込んだが、ボールを支配したのはサンパウロ。そして、そのサンパウロは51分に同点に追いつく。MFダニーロが倒されて得たフリーキックをMFソウザがゴール前にクロス。DFルガーノが頭で流すと、フリーになっていたDFファボンが右足でファーサイドネットに突き刺した。 これであと1点とればイーブンになるサンパウロは、59分にFWチアーゴとMFレニウソンを投入。動ける選手を入れて反撃の態勢を整えた。だが、追加点を奪ったのはインテルだった。66分、後方からのクロスに反応して前線の裏に飛び出したFWフェルナンドンがヘディングシュート。GKホジェーリオ・セーニが一度は弾いたが、こぼれ球を拾ったフェルナンドンがゴール前で待っていたMFチンガに低めのクロスをあげた。チンガはこれを落ち着いて頭で合わせた。 ところが、ゴールを決めたチンガは喜びのあまりユニフォームをめくってアンダーシャツに「オブリガード ジェズス(神様ありがとう)」と書かれた文字を披露。これがなぜか過剰なパフォーマンスとみなされ、2枚目のイエローカードをもらったチンガはあろうことかゴール直後に退場してしまったのであった。 これで再び2ゴールが必要になったサンパウロは、ディフェンスを1枚けずってFWアレックス・ジーアスを投入。4トップの超攻撃布陣に変更した。しかしサンパウロは攻めが単調になり、78分にMFレニウソンがミドルシュートを放つまで、数分間攻めあぐねていた。インテルナシオナウはラインを下げて守備に徹し、攻撃はカウンター一辺倒になった。サンパウロは80分にゴール前でフリーになったFWアロイージオがシュートを放ったが枠外に逸れた。だが、数打ちゃ当たるとはよく言ったもの。相手陣内で攻め続けたサンパウロは85分にFWアロイージオが前線でくさびになり、MFジュニオールがシュート。GKクレーメルがファンブルしたボールをMFレニウソンが押し込み、再び同点に追いついた。 サンパウロは畳みかける。89分にはアーリークロスをFWアレックス・ジーアスがヘディング。GKクレーメルが手で弾いたが、シュートはしっかりと枠内に飛んでいた。後半ロスタイムに突入し、92分にはMFソウザが強烈なミドルシュートを放った。しかしこれもGKクレーメルが身体を伸ばしてセービング。93分には左からのコーナーキックが2度続いたが、サンパウロの猛攻は実を結ばず。タイムアップの笛が鳴り、インテルナシオナウが悲願のビッグタイトルを手にした。 インテルナシオナウは、序盤こそ相手に押されたものの、徐々に持ち直して自分たちのリズムをつくっていった。2トップにアレックス、チンガを加えたカルテットはしばしば相手にとっての脅威となった。とりわけ動きがよかったのは先制ゴールも決めたFWフェルナンドンだった。高さを生かしてくさびになっては、視野を広く保ってボールをワイドに散らすなど攻撃の起点となりチームに貢献していた。相手に2点とられたものの、前節の結果が彼らにとって大きなアドバンテージとなり、ベイラ・ヒオでの90分も無事に乗り越えることができた。 だが気がかりな点も見られた。アベウ・ブラーガ監督はリードして終盤を迎えると前線を削って守備的な布陣にシフト。攻撃的でチーム全体の意識統一も図れていたのにそれを捨てて自ら主導権を相手に渡してしまった。逃げ腰になる時間は、前節でも同じように見られた。アベウ・ブラーガ監督に相当のプレッシャーがかかって慎重になりすぎたのかもしれないが、良いリズムを作れている布陣をわざわざ違うものに変えてしまう必要はなかったのではないだろうか。 対するサンパウロは、FWアロイージオ、MFヒシャリソンといった前節スタメンでなかった選手の動きが今ひとつで、周囲ともあまり噛み合っていなかった。やはり、FWヒカルド・オリベイラとMFジョズエの不在はチームにとってかなりのマイナスだったようだ。3バックはそれなりに機能していたが、中盤がうまくハマらずサイドからの崩しもあまり見られなかった。劣勢の後半、ムリシ・ハマーリョ監督はアタッカンチ ( フォワード ) を4人揃えて逆転を狙ったが、中盤から攻撃を組み立てられなければ奇策も意味をなさない。シュートを13本放っても2点止まりに終わったのは、そんなところも関係しているのではなかったか。 昨年はFWアモローゾ、FWルイゾンといったベテランの力で王者に輝いたサンパウロだったが、今年はあと一歩のところで涙を呑んだ。リベルタドーレス連覇の夢は叶わなかった。 かくして今年のリベルタドーレスで頂点に君臨したインテルナシオナウ。彼らはFIFA世界クラブ選手権に出るべく、12月に来日する。元グレーミオのホナウジーニョ・ガウーショ擁するバルセロナとの対戦はあるのだろうか。何かと楽しみではある。
写真右上; キャプテンのFWフェルナンドンが優勝トロフィーを掲げる。インテルナシオナウは初めて南米王者となった。
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