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Copa TOYOTA Libertadores 2006 〜コッパ・リベルタドーレス〜

リーベルの敗因は何? リベルター、3ゴール奪取で準決勝進出。
準々決勝 2nd.Leg リベルター 3-1 リーベル・プレート

 コッパ・リベルタドーレスは、7月18日に準々決勝の 2nd.Leg が行われた。パラグアイの首都アスンシオンのエスターディオ・デフェンソーレス・デル・チャコで行われた リベルター×リーベル・プレート は、FWセルヒオ・アキーノのゴールなどでリベルターが快勝。この結果、2試合合計 5-3 でリベルターが準決勝に駒を進めた。敗れたリーベルは、内容、後味ともに悪いまま敗退を余儀なくされた。

 試合は、ホームのリベルターがテンポよくボールをまわしてリズムをつくっていく。12分には左サイドからのクロスにFWエルナン・ロドリーゴ・ロペスが頭で合わせた。このシュートはGKヘルマン・ルクスが左腕で弾き返したが、リベルターは早々にいい形をつくっていた。そしてリベルターは17分に先制する。右サイドの崩しからMFカルロス・ボネットがファーサイドにクロスを供給。フリーになっていたFWエルナン・ロドリーゴ・ロペスのヘディングシュートは空中で弧を描いてGKルクスの頭上を越え、ゴール右隅のネットに沈んだ。幸先良く先制したリベルターは、その後も追加点を狙って攻撃を活性化。対するリーベルも、FWイグアインやMFサパータのミドルシュートに活路を見出したがゴールの予感はしなかった。
 次の1点はリベルター。41分、左サイドで展開するとオーバーラップしていたDFマルティン・イダルゴがボールを拾ってドリブル突破。ペナルティエリアに侵入してまもなく強烈なシュートを左足で放った。ボールはクロスバーに直撃して跳ね返ったが、そこに走り込んでいたMFセルヒオ・アキーノがサイドネットにボールを突き刺す鮮やかな右足ボレーで、リードを広げた。

 後半、リーベルはベンチに温存していたFWエルネスト・ファリアスを投入。開始直後の46分に、アーリークロスからのこぼれ球にFWファリアスが反応してゴールに押し込むも、頭で落としたFWイグアインがオフサイドをとられ、リーベルはゴールを取り消された。するとその直後、素早い攻めで左サイドで起点をつくったリベルターは、MFクリスティアン・リベーロスがグラウンダーのクロスに詰めて右足を振り抜き、ゴールネットを揺らす。この時点で 3-0 。1st.Leg を 2-2 で引き分けていたリーベルが勝ち上がるためには、残り42分間で少なくとも3点とらなければならなくなった。
 焦るリーベルは3点目をとられてようやく攻撃に人数をかけるようになった。だが彼らの前にはワールドカップ出場で自信を深め、まもなく宿敵ボカ・ジュニオールスに移籍するGKアルド・ボバディージャが立ちはだかった。GKボバディージャの度重なるファインセーブでゴールを阻まれ続けるうちに、リーベルの焦りは色濃くなる。それが悪く働いたのか、61分にはスライディングの際にスパイクの裏で相手を削ったMFガジャルドにレッドカード。司令塔の一発退場でリーベルは、さらに劣勢に追い込まれた。それでもあきらめずに攻め続けたリーベルは、77分に一矢を報いる。MFアウグスト・フェルナンデスの後方からのパスを、FWファリアスが最終ラインの裏に抜けてトラップ。反転して放ったシュートは相手選手の身体に当たったが、そのこぼれ球をもう一度シュート。GKボバディージャの逆をつくゴールで、差を2点とした。

 残り12分で2点をとれるか。数的不利のリーベルは奇跡を信じて攻め続けた。ところが80分にMFリベーロスが削られ担架で運ばれるアクシデントが発生すると、83分にはDFトゥッシオが膝を削られピッチに倒れ込んだ。ラフプレイの応酬が、スタンドにいた一部のサポーターの感情を触発したのか。リベルターのサポーターが挑発を始めると、リーベルプラテンセもこれに応戦。警官隊めがけて座席の鉄板を投げつけるなどの暴挙に出た。数の少ない警官隊はこの暴動を止めることができず、事態は悪化の一途をたどっていった。スタンドに掲げられた横断幕は燃やされ、警官隊は催涙銃を発射。事態を重くみたルーベン・セルマン主審は、90分を待たずに試合を没収することを決断。サポーターの暴動による強制終了という予期せぬ形でリーベルの敗退が決定し、リベルターの準決勝進出が決まった。

 リベルターは、全員の意思統一がうまく図れており、2ヶ月ぶりの同大会の再開も良い形で望めた。GKボバディージャはファインセーブを連発し、フィールドの10人も攻守の切替を早くして相手を圧倒。早い時間帯の先制で試合の主導権も掌握した。チームとしてまとまっているリベルター。欠点の見当たらない試合内容で準決勝進出を決めた以上、もはやダークホースと呼ぶわけにはいかない。立派な優勝候補のひとつだ。

 対するリーベルは前半、直線的なつなぎからミドルシュートに持ち込むのがやっとだった。ワールドカップ期間中にMFホナタン・サンターナやFWダニエル・モンテネグロといった主力の一部を放出し、選手層の薄い中で試合に臨まなければならなかった。選手層の軽薄化が戦力ダウンを引き起こしたのか。また、FWファリアスをベンチスタートさせた前半はふるわなかったが、ファリアスが投入されると攻撃の形をつくれるようになっていた。ファリアスをスタメンで使う手はなかったのか。後半途中にはガジャルドが退場したが、皮肉にもリーベルの得点が生まれたのはガジャルドが抜けてからだった。そして83分にはスタンドで暴動が発生。決勝トーナメント1回戦のコリンチャンス戦で相手サポーターの暴動で勝ち上がったクラブは、準々決勝では味方サポーターの暴動によって試合を強制終了させられてしまった。ピッチに立っていた選手たちは何を感じたか。
 一時は優勝候補に挙げられたクラブのみじめな敗退ぶり。主力の放出、ファリアスの温存、司令塔の退場、スタンドでの暴動…。リーベルの敗因は、いったい何なのだろう。

 写真右上; 17分に先制点を頭で決めたFWエルナン・ロドリーゴ・ロペス ( リベルター ) は、スタンドのファンに向かってガッツポーズ。
 写真左下; 41分、鮮やかなボレーシュートで追加点を奪ったMFセルヒオ・アキーノ ( リベルター ) 。


コッパ・リベルタドーレス 2006 準々決勝 2nd.Leg (18/07/2006)
リベルター 3-1 リーベル・プレート
アルド・ボバディージャ GK ヘルマン・ルクス
パブロ・ギニャスー
ペドロ・サラービア
エドガー・バルブエーナ
マルティン・イダルゴ
DF エドゥアルド・トゥッシオ
フリオ・セーサル・カセレス
ダニーロ・ヘルロ
ハビエル・ビジャレアル
クリスティアン・リベーロス
セルヒオ・アキーノ
( エドガー・ロブレス )
カルロス・ボネット
MF パウロ・フェラーリ
オスカル・アウマーダ
フェデリコ・ドミンゲス
( アウグスト・フェルナンデス )
ビクトール・サパータ
マルセーロ・ガジャルド
エルナン・ロドリーゴ・ロペス
ロベルト・ガマーラ
( ネルソン・ダビ・ロメーロ )
FW ゴンサーロ・イグアイン
ゴンサーロ・アーバン
( エルネスト・ファリアス )
エルナン・ロドリーゴ・ロペス 17
セルヒオ・アキーノ 41
クリスティアン・リベーロス 47
ゴール 77 エルネスト・ファリアス
クリスティアン・リベーロス イエロー
カード
レッド
カード
マルセーロ・ガジャルド
ヘラルド・マルティーノ 監督 ダニエル・パサレラ
主審; ルーベン・セルマン ( チリ )
スタジアム; エスターディオ・デフェンソーレス・デル・チャコ ( アスンシオン )
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