Campeonato Brasileiro 2006 〜ブラジル全国選手権〜 神の手? 腕で押し込んだゴールはハンド、しかし主審はそれを見逃す。
第13節 フルミネンセ 2-2 サンカエターノ
ブラジル全国選手権は、7月22〜23日に第13節が行われた。リオ・デ・ジャネイロのマラカナンで行われた フルミネンセ×サンカエターノ は、両者2点ずつを奪って引き分けた。首位を狙うフルミネンセにとっては痛い結果に終わった。 試合は、開始からフルミネンセが相手陣内に攻め込んでいく。そして26分、左コーナーキックのチャンスを得たフルミネンセは、MFペトコヴィッチが蹴ったボールがエンドラインすれすれを通過。ゴール前でGKマウロよりも高く飛んだFWエバンドがゴールに押し込んだが、このときエバンドは頭でなく右腕でボールを押し込んだ。主審はエバンドがヘディングで決めたとみなしてゴールを認めたが、明らかなハンドだったためサンカエターノの選手は猛抗議。5〜6人の選手が副審に詰め寄り、ハンドを猛烈に主張したが判定は覆らず、フルミネンセが先制した。この試合随一の問題のシーンだった。 誤審による理不尽な先制点を献上したサンカエターノは、35分にDFアンデルソン・リーマ ( 元アルビレックス新潟 ) がフリーキックで直接ゴールを狙うなどして同点の機会をうかがう。そして39分、相手のファウルでPKを獲得したサンカエターノは、DFアンデルソン・リーマがゴール左隅にシュートを突き刺して同点に追いついた。 1-1 で迎えた後半、フルミネンセはペトコヴィッチが、サンカエターノはアンデルソン・リーマがそれぞれフリーキックで追加点を狙いにいく。そして勝ち越したのはフルミネンセだった。53分、DFマルセーロが左サイドを深くえぐって中央に折り返したところに、詰めていたMFジュリアーノがゴールに押し込み、再びリードを奪った。サンカエターノの守備陣はボールウォッチャーになり、誰もMFジュリアーノについていなかった。 しかし、フルミネンセのリードは5分しかもたなかった。58分、中央でつないだボールをFWウェウリントン・アモーリンが左足でゴールネットに突き刺してサンカエターノが同点に追いついた。その後試合は拮抗。両者ともに決定機をつくるも、両軍守護神の壁を突き破れず、2-2 で勝ち点を分け合った。 フルミネンセは、勝てた試合を落としたと言いたいところなのだが、1点目のエバンドの先制ゴールはまぎれもないハンド。誤審に助けられたと表現するほうが妥当かもしれない。トゥッタやレニーがまだ本調子でなくスタメンで出られていない現在、攻撃に明確な意志が感じとれない今のフルミネンセを支えているのは中盤の4人だ。彼らはそれぞれが自分の役割を理解してそれに従事。オズワウド・ジ・オリベイラ監督の組織的な戦術にフィットしている。そんなフルミネンセの課題は最終ラインであろう。前節はグレーミオに4失点の末エンパテ。そしてこの日も勝ちきれず2点を献上した。ガブリエウやガブリエウ・サントスがいた昨年のような安定感を早く取り戻したいところである。 対するサンカエターノは、名将エメルソン・レオンの下で徐々に自信をつけているようだ。同監督就任以前の弱腰はもう見られず、自然体で試合に臨めるようになった。DFアンデルソン・リーマの強烈なキックや新加入のFWジエーゴ・タルデッリ ( U-21ブラジル代表 ) の得点力など武器は揃っており、あとはレオン監督の手腕にかかっている。ペリクレス・シャムスカ ( 大分トリニータ監督 ) が率いていたときのように強くなれば、このクラブは面白い存在になる。 写真; 26分に起こった問題のシーン。GKマウロよりも有利な態勢でボールの落下点に入ったFWエバンド ( フルミネンセ / 右 ) が右腕にボールを当ててゴールに押し込んだ。明らかなハンドだったが、主審に見逃された。
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