Campeonato Brasileiro 2006 〜ブラジル全国選手権〜 チッチ率いるベルドン、目の上のたんこぶを潰して順位上昇。
第12節 パウメイラス 1-0 コリンチャンス
ブラジル全国選手権は、7月15〜16日に第12節が行われた。サンパウロのモルンビーで行われた「クラシコ」 パウメイラス×コリンチャンス は、DFパウロ・バイエルの決めたゴールを死守したパウメイラスがコリンチャンスを撃破。遅ればせながら勝ち点を2ケタに乗せて順位を1つ上げた。 第11節終了時点で18位と19位といささか盛り上がりに欠けたこの試合は、開始早々コリンチャンスが果敢に攻め、目の負傷から戻ってきたMFカルロス・アウベルトがキレのあるドリブルで左サイドから中に切れ込みシュート。GKマルコスがファンブルしたところにFWハファエウ・モウラが詰めたそのとき、ハファエウ・モウラに肋骨を蹴られてしまったGKマルコスがわずか10分足らずで負傷退場するハメになった。 コリンチャンスはその後も攻め続け、ニウマールやグスターボ・ネーリらも積極的にシュートを放っていく。先制点の予感を漂わせていたのはコリンチャンスだった。だが、先制したのは守備的な内容に終始していたパウメイラスだった。前半終了間際の44分、細かくボールをまわしてDFマルクス・ビニシウスが中盤まで上がり、最終ラインの裏のスペースにループパス。オフサイドぎりぎりのタイミングで抜け出し、ゴール前でフリーになったMFパウロ・バイエルがそのボールをトラップ。GKシウビオ・ルイスを引きつけてシュートを無人のゴールに流しこんだ。 パウメイラスの1点リードで迎えた後半はパウメイラスが効率よくボールをまわしていく。コリンチャンスはカウンターに活路を見出そうとしたが、GKジエーゴの好守などで同点に追いつけなかった。パウメイラスは堅実に勝利をたぐり寄せ、勝ち点と順位においてコリンチャンスの上に立った。 パウメイラスは、勝利への気持ちで相手を上回っていた。前節のようにゴールラッシュとはいかなかったが、少ないチャンスを確実にものにして勝つ2004年当時のコリンチャンスのような戦い方を披露した。その当時コリンチャンスを指揮していたチッチ監督が、今はパウメイラス。つまり、これらは同監督の戦術論が今のパウメイラスに浸透してきたことを意味する。12試合目でようやく勝ち点を2ケタ ( 10 ) に乗せたパウメイラス。今の調子を維持できるかどうかで、今季の命運が分かれる。 一方敗れたコリンチャンスは、覇気もやる気も感じられたが勝てなかった。MFマスチェラーノ ( アルゼンチン代表 ) やMFヒカルジーニョ ( ブラジル代表 ) がピッチに戻ってきても"焼け石に水"のようで、勝利の可能性を見いだせなかった。選手個人のレベルは高く、個人技では何度か決定機をつくりだせている。にも関わらず、ここまで結果が伴っていないのは、なぜか。チーム全体がひとつの同じベクトルを向いていないからではなかろうか。「常勝」だった昨年も今は昔。今はひとつひとつの試合で謙虚に臨むことが求められる。 ちなみに、この試合でFWニウマールが右膝をひねって負傷退場。次節の出場は微妙だそうだ。ニウマール不在でチームはどう戦うのだろう。もし次節のフォルタレーザ戦も落とすようなことがあると、さすがのジェニーニョ監督もお手上げだ。「悪い流れ」が、さらにコリンチャンスを苦しめている。 写真右上; シュートを防がんと身を投げ出したGKマルコス ( パウメイラス / 右 ) 。FWハファエウ・モウラ ( コリンチャンス / 左 ) のスパイクが胸に激突し、マルコスは肋骨を負傷した。 写真左; 44分、相手のラインの裏をとって先制ゴールを奪ったMFパウロ・バイエル ( パウメイラス ) 。 写真右下; 後半途中に右膝をひねったFWニウマール ( コリンチャンス ) は、担架で運び出されて病院に直行した。
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