今年４月にサンパウロに加入したFWヒカルド・オリベイラ ( 元ブラジル代表 ) が、サンパウロへの完全移籍を希望しているという。

　ヒカルド・オリベイラは、昨年所属したベティス ( スペイン ) でも主力として活躍。カルロス・アウベルト・パヘイラ監督にもいたく気に入られてブラジル代表に入り、セレソンの一員としてW杯南米予選も戦ってきた。ところが、UEFA チャンピオンズリーグのグループリーグ ( 対チェルシー戦 ) で膝の靱帯を断裂する大けがを負い、ブラジル代表から名前がはずれてしまった。治療に専念する羽目になり、ワールドカップへの出場も叶わぬ夢となった不運の選手である。

　そんな同選手に救いの手を差し伸べたのが、サンパウロだった。サンパウロは、ヒカルド・オリベイラの治療費を出すことまで提案して治療中の同選手を獲得。今年４月にはチームに合流させて、リハビリを支援してきた。ブラジル代表のメンバー発表直前の５月14日にはブラジル全国選手権で実戦に出場。以後、数試合に出場してサンパウロの上位躍進に貢献した。

　サンパウロのムリシ・ハマーリョ監督は、ヒカルド・オリベイラのことを気に入っているらしく、またヒカルド・オリベイラもサンパウロの環境や待遇に満足しているという。相思相愛の関係にあるサンパウロとヒカルド・オリベイラ。同選手は現在、ベティスからのレンタル移籍という形でサンパウロに属しており、移籍期間は今年の８月10日までとされている。この日までに完全移籍の交渉が実現しなければ、ヒカルド・オリベイラはベティスに戻ることになる。

　ちなみに、現在ベティスにはサンパウロと不仲だったFWジエーゴ・タルデッリ ( ブラジルユース代表 ) が今年の末までの契約で期限付き移籍を果たしたが、そのジエーゴ・タルデッリはベティスを気に入っているらしく、こちらもまたベティスへの完全移籍を希望しているとのこと。

　選手の希望だけで事が進めば、双方の完全移籍が成立して一件落着となるが、サンパウロとベティス双方の意向が絡むため、それぞれの完全移籍交渉はそう簡単にはいかないとの憶測もある。果たして、ヒカルド・オリベイラはサンパウロへの完全移籍を成功させることができるのか。すべては同選手の代理人に託されている。