Copa TOYOTA Libertadores 2006 〜コッパ・リベルタドーレス〜 10年ぶりの優勝へ突き進め! リーベル、敵地でコリンチャンスを抹殺。
決勝トーナメント1回戦 2nd.Leg コリンチャンス 1-3 リーベル・プレート
コッパ・リベルタドーレスは、5月4日に決勝トーナメント1回戦の 2nd.Leg が行われた。ブラジルはサンパウロのパカエンブーで行われた コリンチャンス×リーベル・プレート は、FWゴンサーロ・イグアインの2ゴールなど計3点のアウェイゴールを奪ったリーベルが快勝。優勝候補コリンチャンスを下して最後のベスト8の切符をつかんだ。 コリンチャーノの一部が暴動化したため、試合は81分31秒を以て打ち切られた。開始直後の1分、カルロス・チャンディア主審が足首を痛めるハプニングが起こり、試合が一時中断。その後の展開を予感させるよどんだ時間が数秒間流れた。再開された試合は、8分にMFホナタン・サンターナがミドルシュートを放ってリーベルが攻撃の口火を切ると、コリンチャンスも11分にFWニウマールのシュートで応戦。序盤から息の詰まるような攻防が繰り広げられた。 勝利が必要なコリンチャンスは、20分にMFマルセーロ・マットス、28分にはFWカルロス・テベス、さらに30分にはコーナーキックからDFマルクス・ビニシウスと立て続けにシュートを放つが、相手守護神の牙城を崩すには至らなかった。それでも攻め続けたコリンチャンスは38分、MFヒカルジーニョのフリーキックをFWニウマールが頭で叩きこんで先制。パカエンブーに詰めかけたファンは総立ちで発煙筒を炊き、騒ぎまくった。 1-0 とコリンチャンスのリードで折り返した後半、リーベルのパサレラ監督は動きの悪いFWゴンサーロ・アーバンに代えてFWゴンサーロ・イグアインを投入。すると、リーベルも徐々にボールを支配し始めた。そして56分、MFマルセーロ・ガジャルドのクロスをDFコエーリョがクリアミス。ボールは無情にもGKシウビオ・ルイスのいない空間を飛んで自陣のゴールネットを揺らした。ラッキーなオウンゴールで同点に追いついたリーベルは、逆転を狙ってさらに攻撃を活性化。対するコリンチャンスも勝利すべくMFホージェルを投入。次の1点を果敢に狙いにいった。息の詰まるような攻防は、依然として落ち着く気配を見せなかった。 攻撃を効率的に得点へと結びつけたのはリーベル・プレートだった。72分、速攻を仕掛けたMFマルセーロ・ガジャルドが前線を走るFWゴンサーロ・イグアインにスルーパスを供給。ボールをもらったFWイグアインはペナルティエリア内の右45度からシュートを突き刺した。このゴールで優位に立ったリーベルだったが、まだ攻撃の手を緩めようとはしなかった。 迎えた81分、リーベルはMFガジャルドのセットプレイからFWイグアインが最後に押し込んでダメ押しの3点目を奪取する。このとき、2試合合計は 6-3 でリーベルの大量リード。コリンチャンスが勝ち上がるためには、残り10分足らずで5点を奪わなければならなくなった。すなわち、FWイグアインの決めた最後のゴールは、コリンチャンスのリベルタドーレス敗退を意味するものでもあった。 スタンドに詰めかけたコリンチャーノたちもまた、その現実を理解はしていた。わかってはいたが、コリンチャーノがその現実を受け入れることなど出来るはずもなかった。堪忍袋の緒が切れた一部のコリンチャーノは、まもなく暴徒化。スタンドとピッチとを隔てるゲートを突き破って、ゴールを決めたFWイグアインらリーベルの選手たちや主審に暴行しようとピッチ内に乱入した。警備に当たっていた国軍警察も直ちに出動し、収拾のつかない事態に陥ってしまった。コリンチャーノたちの怒りがおさまりそうにないことを悟った主審は、90分を待たずして試合を強制終了させるしか術をもたなかった。 優勝候補とも目されていたコリンチャンスは、リベルタドーレス敗退の憂き目に遭った。しかも、アウェイゴールを3点も奪われる屈辱の大逆転負けによって、である。この日はMFハビエル・マスチェラーノ ( アルゼンチン代表 ) がサスペンションで出場できず、マスケ抜きの布陣を組んだ。リーベルを熟知する男の不在は、言わずもがなコリンチャンスにとってはマイナス要素だった。また、猛一人のアルゼンチン人であるFWカルロス・テベスは、何度か決定的なシュートを放ったがゴールを奪うことができず。ボカ時代に何度かリーベルを倒してきた男のノーゴールもまた、敗因ととらえて然るべきか。 対するリーベル・プレートは、快心の大逆転勝利で準々決勝進出を確定。1st.Legと合わせてコリンチャンスから計6点を奪った。「最高の結果だ」と試合後に語ったダニエル・パサレラ監督の采配もまた素晴らしかった。この日司令塔を任されたMFガジャルドは随所で攻撃の起点となった。また、後半から投入したFWゴンサーロ・イグアインが36分間で2点を奪う活躍を披露した。 改めて破壊力のすごさを南米大陸中に知らしめたリーベルは次週、堅守が売りのリベルター ( パラグアイ ) とベスト4の切符を争う。仮に準決勝に進めば、リーガ・デ・キトかインテルナシオナウのいずれかと激突する。道のりは険しいが、今のリーベルなら頂点も狙えそうだ。1996年以来、実に10年ぶりとなるリベルタドーレス優勝も、決してありえない話ではない。
写真右上; 快心の大逆転勝利で準々決勝進出を決め、コリンチャーノを尻目に大喜びのリーベル・プレート陣営。中央で拳を突き上げているのはDFフリオ・セーサル・カセレス。
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