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Copa do Brasil 2006 〜コッパ・ド・ブラジル〜

フラメンゴの生卵事件にみるスポーツの偏重報道

 リオ・デ・ジャネイロ州選手権で敗退したフラメンゴは、この水曜日にコッパ・ド・ブラジルに臨むべく、敵地パライーバに降り立った。そこで、心ない若者から生卵を投げつけられるという屈辱を受けた。

 ジーコ日本代表監督らを擁して栄華を極めたフラメンゴは1980年代以後、国内最大の人気を誇るブラジルのクラブとして今も人気を博している。その人気は、リオ・デ・ジャネイロに限らずブラジルの至る所に波及している。当然ながら、パライーバにもフラメンギスタは多数いるのだ。
 だが近年のフラメンゴは、成績がふるわず優勝争いはおろか、毎年のように降格争いを演じては、かろうじて2部降格を免れるという状況が続いている。その低迷ぶりは著しい。そして今季、州選手権でも準決勝に進むことなく敗れ去っている。

 3月20日、フラメンゴの面々はコッパ・ド・ブラジルを戦うべく降り立ったパライーバで、屈辱的な思いを受けた。現地で待っていた未成年と思われるフラメンギスタ数人が、腹いせに生卵を選手に向かって投げつけたのである。
 実行犯の少年たちはすぐさま警官に取り押さえられたが、この出来事にフラメンゴ側は強いショックを受けているという。

 フラメンゴのワウデマール監督は「このようなことが起こったことを悲しく思っている。全国のフラメンギスタを裏切った州選手権の結果からすれば致し方ないかもしれないが、だからといってそれが卵を投げつけてもいい理由にはならない。他人に卵を投げつける行為がどれほど失礼なことなのかを、当事者はしっかりと考えるべきだ」と、ストレートに怒りを表現した。

 ブラジルでのフラメンゴ人気は、日本でいうところの読売ジャイアンツ人気にも似た要素を内包している。読売ジャイアンツの人気は、巨人中心中継に依存した地上波放送局の偏った放送がもたらしたものである。 (旬の千葉ロッテや福岡ソフトバンク、そして阪神の試合を全国中継せず、弱い巨人の試合ばかりを全国ネットで流しているようでは視聴率も下がって当然の話である。)  そしてフラメンゴの人気もまた、1980年代からテレビでフラメンゴの試合ばかりを放送したがために膨れあがった産物であるのだ。
 また、応援するチームにモノを投げつける行為は、日本国内でも過去に見られた。1998年のワールドカップに日本代表が初出場した際、敗退して帰国したFW城彰二にサポーターが水を浴びせた事件があった。これの発端は、当時NHKで解説をしていたラモス瑠偉の「(FW城の表情について)シュートはずして何笑ってんだ。遊びじゃねーんだぞ」という発言を真に受けた一部のサポーターによる暴威だったのであるが、"水かけ事件"もまたメディアの影響によるところが大きい。

 フラメンゴの選手団に生卵を投げつけた未成年たちは、せつにメディアの影響をまともに受けた少年たちばかりである。フラメンゴが弱くなった今もなお、フラメンゴに偏った放送ばかりを繰り返しているブラジル国内メディアの負が露呈されたに過ぎない。

 生卵を人に投げつける行為は断じて許されない。しかし、"かつての強豪"を贔屓目で放送しつづける偏った報道姿勢を、メディア側は正す時期にきているのではないか。
 日本もブラジルも、スポーツの報道姿勢について今一度考え直す必要がある。

 写真; フラメンゴの選手団に生卵を投げつけたとして、現場に居合わせた警官から所持品の取り調べを受ける未成年のフラメンギスタ。

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