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Campeonato Brasileiro 2005 〜ブラジル全国選手権〜

何もかもが吹っ切れた? 上告必至のチーム・ガウーショ、負けて祝杯。
第42節 コリチーバ 1-0 インテルナシオナウ

 ブラジル全国選手権は、12月4日に最終節 ( 第42節 ) が行われた。パラナー州クリチーバのエスタジオ・コウオ・ペレイラで行われた コリチーバ×インテルナシオナウ は、FWアウシーマル ( コリチーバ ) にPKを決められ、かつ1点も奪えなかったインテルナシオナウが完敗。負けた首位に追いつくに至らず、コリンチャンスの優勝を許した。

 試合は、開始早々から主審の判断で動いた。4分、先制点を狙いに出たコリチーバは、MFヒカルジーニョがペナルティエリア内でDFエウデル・グランジャに倒されてPKを獲得。これをFWアウシーマルがゴールネットの中央に蹴りこんで、コリチーバが早々と先制した。是が非でも勝利が必要なインテルナシオナウは、その直後から怒濤の猛攻で相手ゴールを脅かし続けたが、シュートがわずかに枠の外に逸れるなど最後の詰めが甘かった。コーナーキックが相手に当たるもゴールポストに跳ね返されるなど、運にも見放されたインテルナシオナウは、0-1 で完敗。負けた首位コリンチャンスと勝ち点で並ぶに至らず、タイムアップの瞬間、インテルナシオナウの優勝の可能性は消滅した。しかし、勝利したコリチーバも、順位を覆すことができず19位が確定したことで、2部降格が確定してしまった。どちらにとっても、笑顔のなき一戦であった。

 コリチーバは、パラナー州の州都クリチーバに本拠を置く名門クラブ。都市名と一文字違いのクラブ名から親しみをもつ市民も多く、長きに渡って人気を博してきた。1989年には、かの元日本代表FW三浦知良 ( 現シドニーFC ) が州選手権で活躍したクラブとして知られてきた。キングカズの飛躍は、このコリチーバをなくしてありえなかったのだ。しかし、そんな同クラブも近年ではアトレチコ・パラナエンセやパラナーなど同郷の宿敵になすすべなく、今季はかつてない低迷に苦しんだ。資金力不足から戦力補強もままならないまま、下位に沈んだ名門の未来に待っていたのは「2部降格」という悲しすぎる現実だった。この屈辱を無駄にせぬよう、彼らには来年2部で結果を残して、1部に返り咲いてもらいたい。そう願うばかりである。

 対するインテルナシオナウは、勝たなければならない最終戦で、あろうことか1点も奪えず完敗を喫した。FWフェルナンドン、FWハファエウ・ソービスら、自慢の攻撃陣の動きは決して悪くなかった。とりわけ、ブラジルのユース代表歴を持つFWハファエウ・ソービスは積極的にシュートを放ち、あわや同点かという場面を何度もつくった。だが焦っていたのか、重要な試合ならではの重圧に苦しんだのか、彼のシュートはゴールポストに何度もはじき返されていた。勝利の女神に背を向けられたインテルナシオナウは、この試合で2位が確定した。

 ところが、試合終了後にインテルナシオナウは奇妙な行動に出た。負けたことで首位に届かなかったにもかかわらず、「優勝は俺たちだ」として祝杯をあげたのだ。インテルの広報によると、「エジウソン・ペレイラ・ジ・カルバーリョ氏が犯した八百長事件による対象試合の無効および再試合が行われなければ、計算上ではインテルナシオナウはコリンチャンスを勝ち点1だけ上回っていた」というのが彼らの主張だそうな。事実、ムリシ・ハマーリョ監督や選手らも一同にそれを思っていたようで、それが“敗戦後の祝賀会”という異様な光景を生み出す根拠となったようだ。
 言わずもがな、非常に利己主義な言動である。せめて、この試合で勝ち点3を得た上で主張するのであれば同情する声もあがろうが、負けていながら八百長事件を肴に優勝を主張するようでは、わがままが通らなくて逆上する幼児と同じレベルだとしか言いようがない。

 2位ながら強引に祝賀会を開いたインテルナシオナウについては、ブラジル国内でも話題をかっさらっているようだ。八百長事件を考慮してインテルの優勝を指示する者もいれば、かたや負けて主張するべからずとの批判を口にする人も少なくないという。あちこちで賛否両論が飛び交っており、インテルナシオナウの、STJD ( ブラジル最高スポーツ裁判所 ) への上告は秒読みであるようで、CBFもブラジル全国選手権に関しては結論を STJD に委ねる意向を示している。この話題にピリオドが打たれるのは、もう少し先のことになりそうだ。

 写真右上; 3トップの一角として働いたFWヘンテリア ( インテルナシオナウ / 赤ユニフォーム ) はゴールに絡む動きもみせたが、結果に結びつけることはできなかった。
 写真左; 試合に負けて首位に届かなかったが、優勝に値する結果を残したインテルナシオナウのイレブンは試合後、エスタジオ・コウト・ペレイラに来てくれたファンに向かって拍手で応えた。
 写真右下; 試合のあった当日の夜、ホームのエスタジオ・ベイラ・ヒオに戻ったインテルナシオナウは、判決の逆転を信じて"幻の優勝"を祝った。


ブラジル全国選手権 2005 第42節 (4/12/2005)
コリチーバ 1-0 インテルナシオナウ
ドウグラス GK アンドレ
ホドリーゴ・バタータ
アンデルソン
ナシメント
ヒカルジーニョ
DF エウデル・グランジャ
ボリーバル
ビニシウス
ジョルジ・ワグネール
ペルイービ
カピシャーバ
ジャクソン
カイオ
MF エジーニョ
チンガ
ヒカルジーニョ
( マルシオ・モッソーロ )
ヘナウド
( チアーゴ )
アウシーマル
( ウンベルト )
FW ハファエウ・ソービス
ヘンテリア
( グスターボ )
フェルナンドン
アウシーマル 04 ゴール
ナシメント イエロー
カード
チンガ
ヘンテリア
主審; エウベッシオ・ゼケット
スタジアム; エスタジオ・コウト・ペレイラ ( クリチーバ )
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