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FIFA World Cup 2006 〜FIFAワールドカップ2006南米予選〜

オーストラリア、32年越しの悲願成就。ウルグアイには残酷な現実…
予選プレイオフ 2nd.Leg オーストラリア 1-0 ( PK: 4-2 ) ウルグアイ

 FIFAワールドカップの南米予選5位とオセアニア予選1位との間で争われるプレイオフは、11月16日に 2nd.Leg が行われた。オーストラリアのシドニーにあるスタジアム・オーストラリアで行われた オーストラリア×ウルグアイ は、MFマルコ・ブレシアーノのゴールで先制したオーストラリアが、最後まで失点を防ぎ 1-0 で勝利。2試合合計 1-1 で延長戦に突入したが、決着は着かずPK戦にまでもつれこんだ。そのPK戦を 4-2 で制したオーストラリアが、32年ぶりのワールドカップ出場を自分たちのものへと引き寄せた。

 試合は、オーストラリアの黄色に染まった大観衆が見つめる中で始まった。両者は序盤から先制点を狙うべく積極的な攻撃を展開。あわや先制かという場面が何度も生まれた。そして迎えた34分、先制点をあげたのはオーストラリアだった。代わって投入されたMFハリー・キューウェルはシュートミスしたが、このボールはゴール前に走りこんでいたMFマーク・ブレシアーノの足元へと転がる。これをMFブレシアーノが左足でゴールネット上部へと突き刺した。ウルグアイも負けじと前半のうちに同点を狙いにいったが、先制点の影響か、オーストラリアが徐々に主導権を握っていった。
 後半に入るとウルグアイの足は止まり、オーストラリアがボールを支配するシーンが続いた。オーストラリアの2点目は生まれつつあったが、スコアボードは動かず、1-0 で90分間を終了。延長戦に突入するも、どちらもゴールをあげることはできず、決着はPK戦にまでもつれこみ、これを 4-2 で制したオーストラリアが、ワールドカップへの切符を手に入れた。

 オーストラリアは前節負けはしたものの、最小失点で切り抜けたことで大きな望みをもって試合に臨んでいた。「絶対に勝つ」といった積極的な姿勢は随所に見られ、サイドを広く使った攻撃で相手を脅かした。オーストラリア代表に名を連ねた選手はほとんどが欧州のトップレベルを体験済みの猛者たち。そのレベルは決して低くない。また、世界を知り尽くした名将フース・ヒディンク監督の采配も冴えていた。32分、3バックの一人DFポポヴィッチ ( 元サンフレッチェ広島 ) に代えてFWハリー・キューウェルを投入した直後にゴールが生まれた一連の流れは、まさにヒディンク采配のきわみだったと言えるのではないか。
 しかし、何よりもオーストラリアの力になったのは、8万人を超える満員の観衆の声援に他ならなかった。サッカーというスポーツに親しみをもっていないと言われてきたオーストラリアの国民だが、スタジアムに訪れたサポーターの観戦態度は、かのイングランド・プレミアリーグによく似ていた。それは相手にプレッシャーを与えるに充分な質の高いものだった。ワールドカップへの出場権獲得はもちろん、MFキューウェルに復活の兆しが見えるのも嬉しい話題ではあるが、それ以上にサポーターの力が代表に何らかの力を与えたことについては疑いの余地もない。
 32年ぶりにワールドカップ出場権を手にしたオーストラリア代表は、プレイオフでは史上初のPK戦で決着をつけた。来たる本大会。監督として3大会連続のワールドカップ出場を果たすこととなったフース・ヒディンク監督は、ドイツでどんな奇跡を築くのだろうか。オランダ、韓国に続いて、オーストラリアをもベスト4に導くか? 興味は深まるばかりだ。

 対するウルグアイは、世界的にもレベルの高い選手を揃えながら肝心の試合で非常に“消極的”な行動が目立っていた。1st.Leg での無理がたたったFWフォルランは怪我をさらに悪化。MFレコバがいくら精力的に動けど、質の落ちてしまった前線では得点を生み出すことなどできるはずもなかった。前後半を通して主導権を握れなかったウルグアイは、ロングフィードで逃れてはボールを拾われるの繰り返しに終始し、ボール支配率では大差をつけられた。中盤で短いパスをつないで攻撃を組み立てていく“いつもの”ウルグアイは、見る影もなかった。直行チャーター便の確保失敗による調整不足が、試合に出ていた。
 試合後「選手は一生懸命がんばっていた。負けたのは私の責任」と語ったフォサッティ監督だが、まさにその通り。相手側 ( ヒディンク監督 ) の采配と比較するだけでも一目瞭然だった。試合中、最終ラインを一人削って攻撃的な布陣に変えたオーストラリアに対し、ウルグアイは72分にFWサラジェッタを投入。ここまでは問題ないが、なんとそこでMFレコバをベンチにさげた。1点をとるだけで予選突破の可能性が広がったのに、この日のウルグアイ陣営には積極性がなかった。相手が最も怖がっていた絶対的なエースをさげたとき、そのとき、ウルグアイのプレイオフはすでに終わっていたのかもしれない。

 これで来年のワールドカップに出場できなくなったウルグアイ。絶対的な天才FWアルバーロ・レコバは、代表引退の意思があることを地元メディアに伝えたという。ウルグアイ代表から一人の天才が退く日は、そう遠くない。モンテビデオの憂鬱は続く。




 写真右上; 34分、先制ゴールをあげたMFマルコ・ブレシアーノに飛びついて喜ぶオーストラリア代表。ちなみにMFブレシアーノは昨年イタリアからオーストラリアに帰化した選手だった。
 写真左上; 5本目のPKを決めたMFジョン・アロイージ ( オーストラリア / 写真中央 ) はユニフォームを脱いで歓喜の疾走。超満員のスタンドも沸きに沸いた。
 写真右下; PK戦の4人目でシュートを止められてしまったFWマルセーロ・サラジェッタ ( ウルグアイ / 17番 ) 。
 写真左下; チームを引っ張ってきたMFアルバーロ・レコバ ( ウルグアイ ) はPK戦終了後、頭を抱えた。近く、代表を引退するかもしれない。


FIFAワールドカップ2006 予選プレイオフ 2nd.Leg (16/11/2005)
オーストラリア 1-0
(PK:4-2)
ウルグアイ
マーク・シュウォーツァー GK ファビアン・カリーニ
ルーカス・ニール
アンソニー・ビドマー
トニー・ポポヴィッチ
( ハリー・キューウェル )
DF ディエーゴ・ルガーノ
パオロ・モンテーロ
( マルセーロ・ソーサ )
ダリオ・ロドリゲス
ブレット・エマートン
( ジョジップ・スココ )
ヴァインス・グレーラ
マルコ・ブレシアーノ
( ジョン・アロイージ )
スコット・チッパーフィールド
MF カルロス・ディオーゴ
ギジェルモ・ロドリゲス
パブロ・ガルシア
グスターボ・バレーラ
アルバーロ・レコバ
( マルセーロ・サラジェッタ )
ジェイソン・クリーナ
マーク・ビドゥーカ
FW リカルド・モラーレス
マリオ・レゲイロ
( ファビアン・エストジャーノフ )
マルコ・ブレシアーノ 34 ゴール
トニー・ポポヴィッチ
アンソニー・ビドマー
ジェイソン・クリーナ
ハリー・キューウェル
イエロー
カード
マリオ・レゲイロ
カルロス・ディオーゴ
ダリオ・ロドリゲス
パブロ・ガルシア
リカルド・モラーレス
主審; ルイス・メディーナ・カンタレーホ ( スペイン )
スタジアム; スタジアム・オーストラリア ( シドニー )
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