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FIFA World Cup 2006 〜FIFAワールドカップ2006南米予選〜

過密日程に非効率的な長距離移動… ウルグアイにとって不利なプレイオフ?
専用チャーター便を確保できなかったマヌケなウルグアイ代表 の巻

 来たる10月12日と16日に行われるワールドカップドイツ大会の予選プレイオフ。ウルグアイ ( 南米予選5位 ) とオーストラリア ( オセアニア1位 ) によるプレイオフでは、試合当日を待たずして早くも両者の心理戦が始まっているようだ。

 今回の南米×オセアニアのプレイオフは、12日にモンテビデオで 1st.Leg を、16日にシドニーで 2nd.Leg を行う予定になっている。両日の時間差は、日付だけで計算すると“中3日”になるが、実際は中2日ほどしかない。その理由は、南米大陸とオーストラリア大陸との間の太平洋上に日付変更線が存在するからだ。両者ともに 2nd.Leg に向けて日付変更線を越えて移動しなければならないため、時の刻みが一定でも日付は変わってしまうのであった。実質的に、“中3日”で戦える他大陸のプレイオフとは異なった強行日程になっているのが、この ウルグアイ×オーストラリア なのである。

 その強行日程の中、ウルグアイ側にある問題が浮上した。1st.Leg 終了後、2nd.Leg に向けて両大陸間をスムーズに移動すべく確保しておくはずだった「チャーター便」を、なんとウルグアイ代表が確保できなかったというのである。南米予選で5位を決めた日からプレイオフの日まで約1ヶ月。飛行機を確保するだけの時間的な余裕は充分あったにもかかわらず、「チャーター便では費用がかかる」としてウルグアイサッカー連盟が“節約”をしようとしてすぐに便を予約しなかったため、その間にオーストラリア行きの空路が確保できなくなってしまった。というのだ。このため、ウルグアイ代表は専用チャーター便での移動をあきらめ、通常の旅客機で計3便に分乗しての移動を余儀なくされてしまった。このような手段が非効率的であるだけでなく、敵国での 2nd.Leg に万全を期すことが難しくなったのは、言うまでもないだろう。
 各選手の疲労も考慮し、3便のうち第1便は 1st.Leg を待たずして一足先にオーストラリアに移動することが決定したウルグアイ代表の一部の選手たち。累積警告でプレイオフ 1st.Leg に出場できず第1便への搭乗が決まっているDFディエーゴ・ルガーノ ( サンパウロ ) は、この件に関して「相手国のホテルのテレビで母国の真剣勝負を観戦するなんて滑稽な話だけど、先に移動しておくことがチームにとってプラスになるのなら、これも仕方がない」と語った。

 ところが、ウルグアイの滑稽なお話は、これだけではなかった。このプレイオフで先にホームで戦えることになったウルグアイは10月末のある日、すでに決定していた 1st.Leg の開始時刻 16時 を急遽 21時 に変更する措置をとった。その理由は、試合終了時刻を遅くすることによってオーストラリア代表の当日中の帰国を不可能にさせて、彼らの 2nd.Leg への調整を遅らせたいとする ウルグアイ側の「悪だくみ」にあった。
 ところが、段取り良く専用チャーター便を確保したオーストラリア代表に対してウルグアイ代表が専用チャーター便を確保できなかったことから、この「悪だくみ」も志半ばにして挫折…。結局、1st.Leg の試合開始も 21時 から 17時 に再変更するハメになった。度重なる“悪だくみ”もこのような結論に至ってしまえば、滑稽の一言では表現しきれない。相手を策略にハメようとして、逆に自らがその策略にハマってしまったとなれば、もはや『一人コント』である。

 1998年フランス大会でオランダ代表をベスト4へと導いた名将フース・ヒディンク率いるオーストラリア代表は、32年ぶりの本大会出場に備え強行日程にも対応しうる万全の態勢を整えた。1990年大会の予選から数えて4大会連続でプレイオフで涙をのんできたオーストラリア代表。今回に賭ける意気込みは、侮れない。
 一方、1st.Leg をホームで戦える“有利なはずの”ウルグアイ代表は、スケジュール管理に失敗しただけでなく、守備の要DFルガーノと予選でのチーム得点王FWフォルランの2人を欠いた状態で当日を迎えることになっている。

 心理戦での「どんでん返し」に失敗したウルグアイ代表には一抹の不安がよぎる。対照的に、オーストラリア代表がプレイオフ本番で「どんでん返し」を起こす可能性は、断じて0%ではない。
 日本時間では13日と16日にあたる両日。ウルグアイとオーストラリアの真剣勝負を見逃すな。

 写真; 世界制覇2回の威信を賭けてプレイオフに挑むウルグアイ代表のホルヘ・フォサッティ監督には、今回の珍騒動でまたひとつ余計な悩みが増えてしまった。

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