Campeonato Brasileiro 2005 〜ブラジル全国選手権〜 激論必至の誤審が分けた運命…。首位攻防戦は 1-1 のエンパテ。
第40節 コリンチャンス 1-1 インテルナシオナウ
ブラジル全国選手権は、11月19〜20日に第40節が行われた。サンパウロのパカエンブーで行われた首位攻防戦 コリンチャンス×インテルナシオナウ は、勝利への執念の互角さが試合にも表れ、白黒つかずに勝ち点1ずつを分け合った。 試合は、頂上決戦にふさわしい互角の攻防になった。序盤リズムをつかんだのはホームのコリンチャンス。開始早々の2分、ゴールはならなかったものの、FWテベスが相手キーパーの正面を突くファーストシュートを放った。16分には、FWテベスのヒールパスを拾ったDFグスターボ・ネーリが果敢にオーバーラップして、チャンスメイクした。そして36分に攻撃が実る。MFカルロス・アウベルトが右からクロスをあげたボールが、相手選手の体に当たってGKクレーメル ( インテルナシオナウ ) の憶測と違う方へと軌道を変えた。このボールにFWテベスが反応して、コリンチャンスが先制した。 ところが、前半支配率で上回ったコリンチャンスが後半になると攻め込まれた。インテルナシオナウの逆襲は、後半の初めから顕著だった。48分のFWテベスのシュートを防いだところからカウンターで攻めに出たインテルナシオナウは、MFペルジゴンのパスを受けたFWハファエウ・ソービスが確実にシュートを突き刺して、同点に追いついた。ここから状況は逆転し、インテルナシオナウ優勢で試合は進んだ。そして迎えた73分、問題のシーンが起きた。 ドリブルでペナルティエリア内に侵入したMFチンガ ( インテルナシオナウ ) と飛び出したGKファービオ・コスタ ( コリンチャンス ) の両者が接触。GKファービオ・コスタは、MFチンガの足をひっかけたがボールには一切触れていなかった。誰もがインテルにPKが与えられると思ったが、主審は「MFチンガがPKを得るべくわざと転んだ」とみなしシミュレーションと判定。MFチンガに2枚目のイエローカードを提示して退場処分としたのである。これで数的不利を余儀なくされたインテルナシオナウは、その後守備的な選手を投入せざるをえず、自分たちのリズムも崩れて逆転することができなかった。試合は、1-1 の引き分けで終了。コリンチャンスにとって「嬉しい勝ち点1」、インテルナシオナウにとって「悔やみきれぬ勝ち点1」となった。 コリンチャンスは、代表でのイングランド戦で右足を痛めていたFWテベスが復帰して1ゴールとチームに大きく貢献した。チームも前半はMFホージェル不在を感じさせない内容で、試合をリードしていた。後半は相手の勢いに呑まれてしまい、逆転負けの匂いも漂ったが、主審の“良心的判定”によって事無きを得たコリンチャンス。2位との勝ち点差3を維持したまま、次節でポンチ・プレッタを下せば、優勝の可能性は大きく膨らむ。MSI改革1年目の今年、コリンチャンスの野望は叶うか。 対するインテルナシオナウは、前節までの勢いそのままにベストメンバーで試合に臨み、後半は完全に自分たちのペースで試合を運んでいた。同点以後は首位コリンチャンスを圧倒し、逆転の機会も何度かつくっていた。ところが、こちらは主審の“誤審”のせいで試合を壊されてしまった。国内のメディアも「あの誤審がなければインテルナシオナウが勝っていた可能性が高い」と一斉に疑惑のシーンを非難するなど、インテルにとっては、悔やむに悔やみきれない結果に終わってしまった。インテルナシオナウが優勝するには、残り2試合で連勝し、かつコリンチャンスの黒星を待つのみ。“他力本願”だ。 その他の試合では、3位ゴイアスと4位フルミネンセが破れ、この2チームの優勝の可能性は事実上消滅。優勝の行方は、コリンチャンス、インテルナシオナウの2チームに絞られた。最下位ブラジリエンセに敗れて10位に転落したサントスは、スダメリカーナ出場権すら危うくなってきた。一方、負けられないアトレチコ・ミネイロは、コリチーバを破って連勝。1部残留の望みをつないでいる。また、FWホマーリオの2ゴールで快勝したバスコ・ダ・ガマは、この勝利で1部残留を確定させた。
写真右上; 首位攻防戦で勝利を願い、パカエンブーに詰めかけた地元コリンチャーノ。スタンドは超満員で埋め尽くされた。
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