Campeonato Brasileiro 2005 〜ブラジル全国選手権〜 試合の前後に飛び交った実弾…悲哀のクラシコ・パウリスタは引き分け。
第32節 パウメイラス 1-1 コリンチャンス
ブラジル全国選手権は、10月15〜16日に第32節が行われた。サンパウロのモルンビーで行われた「クラシコ・パウリスタ」 パウメイラス×コリンチャンス は、試合の前後に両サポーター同志の殺人事件が発生する痛ましい出来事の中、無事に90分間行われ 1-1 で引き分けた。 この試合の前、モルンビーに向かっていたパウメイレンセ ( パウメイラスのサポーター ) が、サンパウロ市内の地下鉄タトゥアペ駅で背中を銃で撃たれて死亡する事件が発生。銃殺した犯人は、コリンチャーノ ( コリンチャンスのサポーター ) だった。この事件を受け、モルンビーに近づかぬよう軍警察から勧告が出たため、試合は入場者が約4,000人と閑古鳥の泣くスタンドを背に行われた。 試合は、10分を過ぎたあたりからパウメイラスが積極的に仕掛け、13分にDFファビアーノ、15分にDFコヘーアと両サイドバックが果敢にシュートを放って相手ゴールを脅かした。しかし、先制したのはコリンチャンスだった。左サイドでボールを受けたFWテベスがドリブルで中央に切れ込んだ。テベスは、DFダニエウ ( パウメイラス ) 、DFカルロス・ガマーラ ( パウメイラス / パラグアイ代表 ) の2人を一挙に抜き去ってキーパーと1対1の状況を作ると、GKマルコスの動きを見極めてゴールネットを揺らし、チームに先制点をもたらした。 ところがその3分後、MFジエーゴ・ソウザ ( パウメイラス ) がMFファブリッシオ ( コリンチャンス ) に倒されてPKの判定が下ると、これをMFジュニーニョ・パウリスタが落ち着いてゴール右隅に蹴り込んでパウメイラスが同点に追いついた。先のファウルでMFファブリッシオが退場して数的優位に立ったパウメイラスは、以後怒涛の猛攻で相手ゴールに襲いかかった。しかし、決定的な場面もGKファービオ・コスタの度重なる好セーブに阻まれ、2点目を奪うことはできなかった。試合は 1-1 のままタイムアップを迎えて終了した。 パウメイラスは、エメルソン・レオン監督の就任後、チームに安定感が生まれている。この日はFWマルシーニョの不在にもかかわらず、ピッチを広く使ったワイドな攻撃で相手を揺さぶるなど、内容では首位コリンチャンスを上回っていた。元ブラジル代表のMFジュニーニョ・パウリスタがゴールを決め、さらに数的優位の好条件も重なったパウメイラス。勝利を得られる可能性は十二分にあっただけに、首位を下して勝ち点差を縮めておきたかったところであろう。 対するコリンチャンスは、不利な状況にもかかわらず黒星を免れた。MFファブリッシオの退場によって、約70分間を10人で戦う羽目になってしまったが、相手の猛攻を最後までしのぎ、FWテベスのあげた1点を無駄にしなかった。テベス、ホージェル、ニウマールなど攻撃陣ばかりが取り沙汰されるコリンチャンスだが、この高い守備力を無くして今の首位独走を語ることはできない。 なお、この試合後にはサンパウロ市内でコリンチャーノ ( コリンチャンスのサポーター ) がパウメイレンセ ( パウメイラスのサポーター ) に頭を撃ち抜かれて即死する銃殺事件も発生。試合前の銃殺に対する復讐が起こった。ブラジル国内では、サッカーに関する暴力や犯罪が依然後を絶たない。 その他の試合では、バスコ・ダ・ガマを破ったインテルナシオナウが3位を維持。フルミネンセもまた宿敵ボタフォゴを下して4位を維持している。また、2位のゴイアスはサントスと引き分け首位との勝ち点差を縮められなかった。
写真右上; 23分、久々のゴールをPKで決めてチームメイトの祝福を受けるMFジュニーニョ・パウリスタ ( パウメイラス / 写真右 ) 。
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