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Campeonato Brasileiro 2005 〜ブラジル全国選手権〜

「罪を憎んで人を憎まず」の格言は適用せず。STJDの判決に揺れるサッカー王国。
八百長事件に関係する全試合の処遇が決定。

 先日発覚した八百長事件を受けて、多大な影響が懸念されていたブラジル全国選手権に対する処遇が、STJD ( ブラジル上級スポーツ裁判所 ) のルイス・ズベイテル長官によって下された。判決によると、エジウソン・ペレイラ・ジ・カルバーリョ容疑者が関与した全11試合が無効となることが決定。その11試合で発生した勝ち点がすべて、一時的に剥奪されることも合わせて決定した。そして、これらに代わる試合は後日、別審判による再試合が行われることも決定。全クラブとも、同裁判所の判決を受け入れる方向でいるようだが、八百長事件で勝っていたクラブからは続々と不満の声が噴出。判決が下されてもなお、ブラジル全国選手権には暗い影が落とされたままだ。

 まず憎まれたのは「罪」だった。
 エジウソン・ペレイラ・ジ・カルバーリョ容疑者が八百長事件に関して大筋で容疑を認め、これに憤慨した FIFA ( 国際サッカー連盟 ) は同容疑者から国際審判資格を剥奪する処分を決定。さらに、STJDの有罪判決によって同容疑者が関与した全11試合が無効かつ再試合の処分になったことから、該当試合で勝ち点を得ていたクラブからは、不満が続出した。
 判決が最も大きくマイナスに働いたのは、八百長事件に2試合が該当し、その2試合で2勝していたクルゼイロだ。勝ち点を6も剥奪されたクルゼイロは、混戦の上位争いで多大な損失を被ったことになり、選手、クラブ関係者そしてファンの怒りは並大抵のものではない。他に、勝ち点4を剥奪されたフルミネンセとバスコ・ダ・ガマの陣営も、この判決に納得がいかないようだ。だが、その一方で、該当試合2つでいずれも負けていたコリンチャンスは、勝ち点を剥奪されることなく再試合を行えるため、勝ち点を最大で6も増やせる可能性が浮上。また、八百長試合に関与しなかったフラメンゴ、サンカエターノ、ゴイアス、パウメイラスなどには後先でも何の影響も及ぼさないなど、各クラブに対する影響も様々だ。某首相ではないが、「人生いろいろ、処遇もいろいろ」である。

 そして今回の一連の騒動に関しては「罪を憎んで人を憎まず」の格言は、全く適用せず。「人」もまた、憎まれた。
 主犯格の一人であるエジウソン・ペレイラ・ジ・カルバーリョ容疑者は、日本時間で9月30日の午後をもってブラジル連邦警察によって保釈され、警察署前で友人や家族などに迎えられた。だが、そのときその場に居合わせたコリンチャーノ ( コリンチャンスのサポーター ) が、同容疑者に殴るという出来事が起こった。コリンチャンスは勝ち点増加が見込める立場にあり、とらえ方によってはコリンチャーノには嬉しい判決ではある。しかし、そのコリンチャーノにとってはそんな「目先の得」などはどうでもよく、愛するクラブに黒星をつけて不法に報酬を得ていた同容疑者の行為が許せなかったのである。
 「罪への処遇」は“いろいろ”だったが、サッカーというスポーツを愛してやまないブラジル人が抱いた感情は、“いろいろ”ではなく同じということなのであろう。

 さらに、依然捜査を続けている連邦警察は、一連の騒動に深く関わったことが判明した実業家のバンデルレイ・ポロリ氏も逮捕した。また、CBF ( ブラジルサッカー連盟 ) もアルマンド・マルケス審判部長を解任するなど、状況は依然として慌ただしい。今後さらに逮捕者が出るとの憶測もあり、ブラジルサッカー界を震撼させた前代未聞の八百長事件に関する騒動は、まったくもって幕引きの気配を見せていない。
 なお、無効となった11試合は、10月12日と19日に再試合を行うことで調整することが決定している。その該当試合は以下の通り。

   バスコ・ダ・ガマ × フィゲイレンセ
   クルゼイロ × ボタフォゴ
   サントス × コリンチャンス
   ジュベントゥージ × フルミネンセ
   バスコ・ダ・ガマ × ボタフォゴ
   ジュベントゥージ × フィゲイレンセ
   パイサンドゥ × クルゼイロ
   ポンチ・プレッタ × サン・パウロ
   フルミネンセ × ブラジリエンセ
   インテルナショナウ × コリチーバ
   サン・パウロ × コリンチャンス 

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