Seleção Brasileira 〜ブラジル代表〜 ブラジル対ブラジル? ルイス・ファビアーノの心中は複雑。
セビージャ創立100周年記念 親善試合 セビージャ 1-1 ブラジル
スペインのセビージャで、9月7日にセビージャ創立100周年を記念した親善試合が行われた。セビージャのエスターディオ・ラモン・サンチェス・ピシャン で行われた セビージャ×ブラジル は、両者ともに友好ムードに呑まれ、1-1 で仲良く引き分けた。 試合そのものは決定機の多い展開を見せたが、総勢23名ものブラジル人が出ては入る滑稽さのほうが目立った試合になった。12分、アルゼンチン人代表のFWハビエル・サビオラ ( セビージャ ) が最初のシュートを放つと、ブラジルも負けじと15分にMFカカーがシュートを打ち、満員御礼のスタンドを湧かせた。 しかし、ゴールネットは動かないまま、ブラジル代表はハーフタイムでスタメンの8人を一斉交代。これが影響を及ぼしたのかは定かでないが、61分にホームのセビージャが先制した。。FWルイス・ファビアーノのパスを受けたFWフレデリック・カヌーテ ( セビージャ ) が、DFルイゾンのチェックをかわしてセレソンから先制点をあげたのであった。 親善試合とはいえ負けてはいけないセレソンは、その後攻勢に出たが、セビージャの堅い守備の前に得点を奪えず。だが、敗色濃厚と思われた85分に、セレソンは運良く同点に追いついた。FWアドリアーノのクロスに合わせたFWヒカルド・オリベイラのシュートは、クロスバーに当たってゴールならず。しかし、そのリバウンドが奇しくもDFパブロ・アルファーロ ( セビージャ ) の身体に当たってゴールネットに吸い込まれた。セレソンの同点劇はオウンゴールによるものだった。 セビージャは、1905年に創立したスペイン屈指の名門。今年はFWルイス・ファビアーノ ( 元ブラジル代表 ) やFWハビエル・サビオラ ( アルゼンチン代表 ) らを獲得するなど、前線の強化に力を注いだ。昨年以上の才能を揃え、未来に向けて走り出しているセビージャだが、この日ばかりは過去の怨念がスタジアムを支配した。レアル・マドリーに電撃移籍したMFジュリオ・バチスタ ( 元セビージャ ) が後半から出場するや否や、スタンドからは強烈なブーイングが鳴り響いたのである。セビージャもまたバルセロナと同じで、歴史をさかのぼればマドリーを中心とした旧帝国に支配されていた地域。歴史の名残は今もなお強く、同地域住民のマドリーへの反感は根強い。この日鳴り響いたブーイングは、今季の セビージャ×レアル・マドリー の試合でも聞かれるに違いない。 一方、バチスタのブーイングをよそに、一人気を吐くブラジル人がセビージャにいた。元ブラジル代表のFWルイス・ファビアーノだ。ルイス・ファビアーノは、2004年にリベルタドーレスの得点王に輝くなど、南米に旋風を巻き起こした点取り屋。「ホナウド二世」と騒がれ、コッパ・アメリカでも代表に名を連ねながら、FCポルトでの不調がきっかけとなりセレソンに呼ばれなくなってしまった選手でもある。 約1年前にペルー国内で行われたコッパ・アメリカでFWアドリアーノとともに2トップを組んでいたFWルイス・ファビアーノも、今は一クラブの前線に成り下がってしまった。同じセビージャ所属のMFヘナットがこの日セレソンのユニフォームに袖を通していることを考えれば、ルイス・ファビアーノの心中は決して穏やかではないはずだ。ベンチ入りした9人もの選手にも出場機会が与えられたこの試合で、セレソンの一員としてすら扱われなかったFWルイス・ファビアーノは、愛するセレソンとの対決を余儀なくされたのである。 そして、元コリチーバのMFアドリアーノ・コヘイア、元バイーアのDFダニエウ・アウベスら他のブラジル人にとっても、心中穏やかではなかったのではないだろうか。この屈辱を糧に、彼らがセレソンに名乗りをあげてくれることを期待したい。 ブラジルは、FWホナウドを欠いたものの、FWアドリアーノ、FWホビーニョ、MFホナウジーニョ・ガウーショ、MFカカーと、またまた新しい形の「黄金のカルテット」を披露した。だが、真剣勝負でなかったせいなのか。この日は自慢のカルテットに華やかさは見られず、FWアドリアーノとGKジーダ以外の全員がハーフタイムに退いてしまった。ところが、代わって投入された攻撃陣も思うような結果を残すことはできず、オウンゴールでかろうじて引き分けただけ。試合後、ブラジル国内では、FWアドリアーノとGKジーダを除いた全員に対して批判の声があがったという。世界王者を後押しするファンの目は、どの国よりも厳しい。
写真右上; 前半の45分間でピッチを退いたFWホビーニョ。決定的なチャンスでゴールをあげられず、苦悩の表情を浮かべていた。
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