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Campeonato Brasileiro 2005 〜ブラジル全国選手権〜

王国ブラジルを離れ、北半球に居場所を求める選手たち
ブラジルのオフシーズン海外移籍事情

 各州選手権が始まるまでのオフシーズンを利用した海外移籍は、今年も後を絶たない。2005年を迎えてもなお、ブラジル人の国外流出は続いている。

 昨年あと一歩で優勝を逃したアトレチコ・パラナエンセは、チームの核でもあったFWワシントン ( 元ブラジル代表 ) を、手離した。ワシントンは、2004年のブラジル全国選手権でホビーニョやアレックス・ジーアスらさえも相手にせぬほど得点王街道を爆走。見事にブラジレイロン史上新記録の32ゴールをマークした。190cm と大柄だが足元の技術に優れ、くさびになるプレイやポストプレーもそつなくこなせる。また、キックの精度が高く、フリーキックでも点を決められる選手であり、ヴィッセル神戸に移籍した三浦淳宏選手の穴も充分に埋められるだろう。
 3年前にフェネルバフチェ ( トルコ ) でプレイしていた頃に心臓病を患い、心臓にメスを入れたこともあったワシントン。生命の危機に直面した点取り屋は、心臓をも鍛え抜いて第一線に舞い戻った。ゴール前での落ち着いたプレイと、元セレソンならではの巧みなプレイは、味の素スタジアムを感動で包みこむか?!

 お次も、日本人におなじみのゴールハンター、FWエジウソン ( 元ブラジル代表 ) 。小柄ながらも卓越したドリブルで相手を翻弄し、ゴールを量産できる選手。柏レイソル在籍当時は、レイソル・サポーターにこよなく愛されていた。2004年、2部落ちしたバイーア州の名門ビットーリアで一人気を吐き、18ゴールをマークしたその実力は、Jリーグ在籍当時から衰えを見せていない。2005年は、中東のサウジアラビアのクラブチームに移籍することが決まっている。

 そのエジウソンと同じビットーリアに所属していたMFクレーベルは、柏レイソルに入団することが決まった。契約は2006年元旦までの1年契約で、移籍金は300万ドル ( 約3億1千万円 ) と言われている。2004年、2部降格の危機に直面したレイソルを飛躍させる切り札として、期待が高まっている。

 そして、1部に復帰したばかりのパウメイラスをリベルタドーレス出場圏内の4位に押し上げた一人、MFマグロン ( ブラジル代表 ) 。ロシアのFCモスクワへの入団が決まった。2004年、バグネール・ラブの離脱にも揺れずにシーズンを通してチームが一丸となれたのは、切にマグロンの存在があったからだ。DFバイアーノをボカに放出し、マグロンもいなくなったパウメイラスが、リベルタドーレスで苦戦するのは必至かもしれない。

 続いては、ブラジル人ではないが、ブラジル全国選手権で長年プレイしてきた選手を一人ご紹介。Jリーグ入りの噂が流れては消えたFWペトコヴィッチ ( 元ユーゴスラヴィア代表 ) 。妖精と呼ばれたストイコヴィッチやミヤトヴィッチらとともに語られる、ユーゴ内紛の"悲劇のヒーロー"の一人。情勢不安定な祖国を離れて長年ブラジルでプレイをし続けてきたが、このたびバスコ・ダ・ガマに別れを告げて、サウジアラビアへと移籍することになった。移籍先は、アル・イテハド。
 同クラブへの移籍が決定する直前まで、ペトコヴィッチ獲得のために必死の交渉を続けてきたフルミネンセのトチ・メネゼス副会長は、突然のサウジ行き決定に怒り心頭の様子だったとのこと。ちなみに、フルミネンセが解雇したFWホマーリオは、このオフシーズンにバスコ・ダ・ガマに移籍したばかり。

 最後に、2004年降格圏内をさまよい続けたフラメンゴの1部残留に一役買ったGKジュリオ・セーザル ( ブラジル代表 ) 。2004年、コパ・アメリカ優勝に貢献した守護神の移籍先は、イタリアの名門インテルナツィオナーレ・ミラノ。FWアドリアーノ、FWレコーバ、MFサネッティら南米出身者が多く在籍するビッグクラブだ。W杯予選のセレソンではジーダ ( イタリア・ACミラン所属 ) の前に出る幕もなく、ベンチを温める日々が続いている。ただ現在、インテルは外国人枠が足りていないため、2004-2005のセリエA終了までは、他クラブにレンタルされると見られている。2005-2006以降のミラノ・ダービーでは、もしかすると ジーダ×ジュリオ・セーザル という「セレソンGK対決」が見られるかもしれない。


 2004年に北半球に渡ったブラジル人の中で「成功した」と言えるのは、MFジエーゴ ( サントス → FCポルト ) や、MFアレックス ( クルゼイロ → フェネルバフチェ ) 、DFルイゾン ( クルゼイロ → ベンフィカ ) 、FWバグネール・ラブ ( パウメイラス → CSKAモスクワ ) など。
 2005年、夏真っ盛りのブラジルを離れ、寒い北半球に移籍する選手たちの数は、今後も増え続けることが予想される。北半球で「給料泥棒」にならないような活躍を願うばかりだ。

 写真右上; 2月から東京ヴェルディ1969でプレイする予定のFWワシントン。2004ブラジル全国選手権得点王の実力は、味の素スタジアムでも発揮されるか?!
 写真左下; 具体的な移籍先などは不明だが、サウジ・アラビア入りが決まったFWエジウソン。写真は、柏レイソル時代のもの。

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