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FIFA World Cup 2006 Eliminatórias 〜 ワールドカップ2006南米予選 〜

世界王者の鬼門 「エクアドル神話」にセレソン沈黙。
第11節 エクアドル 1-0 ブラジル

 2006W杯の南米予選は、11月17日に第11節が行われた。4位エクアドルと戦うべくキトのオリンピコ・アタウアールタに乗り込んだ世界王者ブラジルは、最後までゴールを奪えずに敗れ去った。

 そこは、あまりにも高すぎた。エクアドルの首都キトは、標高2,800m の高地にある。その高さは、日本の浅間山以上であり、人によっては市街地にいながら高山病にかかってしまうほど酸素が薄い街として知られている。そして、キトの薄い酸素はこの日も世界王者を苦しめた。3年前、2002W杯の南米予選でも同じ場所でエクアドルに敗れていたブラジルにとって、キトはまさに「セレソンの鬼門」でもあったのだ。逆に、エクアドルにとっては“高地の利”を活かして試合を有利に進められるユートピアである。ホームで負けない『エクアドル神話』。それは、エクアドルの今大会予選のホームゲームでの成績「4勝1分無敗」という数字にも表れていた。

 ホーム無敗記録を更新中のエクアドルは、ブラジルを相手にしても慌てることなく有利に試合を進めた。試合開始早々、FWデルガードのシュートを皮切りに、不安定なセレソンDFの裏をとる巧みなフットボールを展開していた。後半に入ってもエクアドル有利の状況は変わらず、エクアドルは終始ブラジルを圧倒した。75分、MFエディソン・メンデスがミドルレンジから放ったシュートがジーダ(GK;ブラジル)の右手をかすめてゴールに吸い込まれた。この1点を守りきったエクアドルが見事に勝ち点3を手中にした。試合終了のホイッスルまで気を抜かずに戦い、着実に勝ち点を伸ばしたエクアドル。高地で生まれ育った彼らにとっては、酸素の量など全く問題ではなかった。

 一方のブラジルは、大きな不安を抱えたまま年を越さなければならなくなった。ほぼベストメンバーで試合に臨むことができたセレソンだったが、得点を奪えないまま時間の経過とともに、イレブンの動きは徐々に鈍っていた。急激にスタミナを消耗したかのようだった。後半には、ヒカルジーニョ(MF;サントス)やドゥドゥー(MF;元柏レイソル)、アドリアーノ(FW;インテル・ミラノ)と立て続けに投入したが、パヘイラ采配は最後まで実を結ばなかった。87分には最大の決定機もあったが、FWアドリアーノからのラストパスをFWホナウドがシュートをゴール左に外してしまい、同点に追いつくことすらできなかった。

試合後のFWホナウド (ブラジル) のインタビュー
 頭が痛かった。酸素が薄すぎるよ。ハーフタイムには酸素ボンベのおかげで楽になったんだけど、またすぐに動くのが辛くなったんだ…。


 この敗戦で、宿敵アルゼンチンに首位の座を明け渡したブラジル。この予選を通じてセレソンは、他国の調子がどこも今ひとつだったために偶然首位に君臨していた感が否めない。前節のコロンビア戦以降、歯車の狂い始めたチームの建て直しがパヘイラに与えられた急務であろう。

 次回、南米予選の第12節は、2005年3月26日に行われる。

 写真右上; 77分、エディソン・メンデス(MF;エクアドル) が値千金のミドルシュートを決めて、歓喜の疾走。
 写真左下; 87分、シュートを外したホナウド(FW;ブラジル) は、2,800mという標高に苦しい表情を浮かべる。

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