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FIFA World Cup 2006 Eliminatórias 〜 ワールドカップ2006南米予選 〜

エル・モニュメンタルをほろりと酔わせた赤ワインの通り雨。
第11節 アルゼンチン 3-2 ベネズエラ

 2006W杯の南米予選は、11月17日に第11節が行われた。首都ブエノスアイレスのエル・モニュメンタルに6位ベネズエラを迎えたアルゼンチンは、フットボール後進国の猛攻を耐えしのいで勝利を収めた。

 試合前、ブエノスアイレスには吉報が届いていた。「首位ブラジルがキトで敗れた」―― これはすなわち、アルゼンチンが勝てばブラジルを抜いて首位になれることを意味した。そのアルゼンチンがこれから戦うのはフットボール後進国ベネズエラ。試合を前にして余裕を抱いたのか、それとも、これから戦う相手を“格下”と舐めてしまったのか。吉報は良くも悪くもアルゼンチンを揺さぶっていた。

 試合は、開始早々の5分に相手のオウンゴールを誘ったMFリケルメのフリーキックで先制するも、32分にミリートがルーベンス・モーラン(FW;ベネズエラ)に裏を取られて失点。試合はその後、前半ロスタイムにリケルメ(MF;アルゼンチン)がフリーキックを直接決めて再びアルゼンチンがリード。後半にもデルガードに代わって入ったサビオラがミドルシュートを決めて3-1とした。これで勝負あったかと思われたが、ここでくじけないのが今のベネズエラ。途中出場のビエルマ(MF;ベネズエラ)が直接フリーキックを決めて、再度1点差に縮めた。わずかなカーブを描いてアボンダンシエーリ(GK;アルゼンチン)の目測を誤らせた強烈な弾丸シュートだった。

 勝利を至上命題に掲げたペッケルマンだったが、サムエル(DF;レアル・マドリー) とエインセ(DF;マンチェスターU) を累積警告で欠いていた。代役にゴンサーロ・ロドリゲスとミリートを配置する布陣、バックラインに不安を抱えてのキックオフだった。そして、その不安は現実のものとなってしまった。2つの失点は、ともにサムエルとエインセが抜けた穴を突かれてのものだった。攻撃陣が効率的に機能していただけに、アルゼンチンにとっては余計な不安材料を抱える試合になってしまった。

 一方、ヴィーノ・ティント(赤ワイン) の愛称をもつアウェイのベネズエラ代表は、第9節に世界王者ブラジルを相手に2点を奪った「歴史的な日」以降、何かが少しずつ変わり始めていた。自信を持って試合に臨める集団になっており、前節にはエクアドルをホームで撃破していた。そしてブエノスアイレスに乗り込んだこの日も、ヴィーノ・ティントは南米屈指の強豪を相手に敵地で善戦した。バックラインを押し上げたコンパクトなフォーメーションに、善戦からのプレス、そして素早い攻守の切り替えと、チーム全体の意志統一が非常に明確だったのである。
 フットボール後進国とは思えないような試合を演じていた。3-2とした後もあわやという決定機を三度も作るほど、積極果敢に戦っていた。結果はともかく、内容ではアルゼンチンをはるかに上回っていたヴィーノ・ティント。その名の通り、エル・モニュメンタルはきっと赤ワインに酔わされていたのだろう。



 この勝利でアルゼンチンは、エクアドルに敗れたブラジルを抜いて第5節以来再度首位に躍り出た。だが、次節はサネッティとサビオラ、プラセンテが累積警告で出場停止になる。ペッケルマンが厚い信頼を寄せる3人の離脱が、次節にどのような影響を及ぼすのだろうか。

 その他の試合では、3位につけているパラグアイがモンテーロ(DF;ウルグアイ)のゴールでウルグアイに敗れて4位に後退。代わってホームゲーム無敗のエクアドルが3位に浮上した。他ではコロンビア、ペルーがそれぞれ勝利を収めて順位を上げている。
 次回、南米予選の第12節は、2005年3月26日に行われる。

 写真右上; 前半ロスタイム、リケルメ(8番;写真中央)がフリーキックを直接決める。歓喜の抱擁はベンチにいたDFプラセンテと。
 写真左下; 32分、モーランがあっさりミリート(写真左)の裏をとって同点弾を決める。モーランのゴールはこれで3戦連続に。

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