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Copa TOYOTA 2004 〜トヨタカップ〜

10年前の女神は気まぐれ。 そして今年もまた、気まぐれ。
FCポルト 0-0 (PK; 8-7 ) オンセ・カルダス

 クラブチームの世界一を決めるトヨタカップの最後の一戦。2004年12月12日に横浜国際競技場で行われた FCポルト × オンセ・カルダス は、両者ともゴールを決められずPK戦にて決着がついた。制したのは欧州のFCポルトだった。

 両者ともほぼベストの布陣を組んできた。とくにFCポルトはUEFAチャンピオンズリーグから中3日という厳しいスケジュールにもかかわらず、マッカーシー、ジエーゴ、マニシェらを揃えた。必ずしもビッグクラブには属さない両者の気持ちの入った戦いに、いつしか会場も熱気に包まれていった。試合は、大方の予想通り、ポルトの攻勢をオンセ・カルダスがひたすらしのぐ展開が続いたが、オンセ・カルダスが誇る守護神エナオの前に、どうしてもゴールネットを揺らすことができなかった。対するオンセ・カルダスもカウンターから決定機を何度か演出したが、これもまた得点には結びつかなかった。この試合の決着がついたのは、運の良し悪しのみがものを言う PK戦 だった。

 この試合には、10年前のあのW杯決勝を連想させる何かがあった。この試合、最も注目されたのはオンセ・カルダスの守護神ファン・カルロス・エナオだった。判断力と反射神経に優れた男は、風貌こそワイルドだが、注目度は10年前のロベルト・バッジョにひけをとらなかった。今年の上半期に行われたリベルタドーレスを振り返れば、オンセ・カルダスを牽引したのがエナオだった。オンセ・カルダスが来日できたのは、切にエナオがリベルタドーレスの決勝でボカのPKを全て防いだからに他ならなかったからである。そして、この試合でもエナオは度重なるファインプレーでチームを危機から救い続けた。それなのに、結末は「健闘した男が報われない」あまりに非情な現実だったのである。
 もしも勝負を左右する「女神」が実在するとするならば、彼女はこの上なく気まぐれであろう。あの日あのときあの場所でロベルト・バッジョを振り回した女神は、10年の時を経て今度はエナオを振り回した。あの日最もMVPに近づいていたはずのバッジョは、うつむいたまま動けなかった。この日最もMVPに近づいていたはずの男は、この現実にいったい何を想ったのか…


 FCポルトの優勝でその歴史に幕を閉じたトヨタカップ。来年からは6大陸のクラブチャンピオンが対戦する「世界クラブ選手権」にとって代わられることになる。

 写真左上; 試合終了後、歓喜に湧くFCポルトの輪を背に、ピッチに沈んだオンセ・カルダスの選手たち。
 写真右下; トヨタカップにおけるキーパーの注目度では、オリヴァー・カーン(バイエルン・ミュンヘン)にも負けず劣らずだった守護神ファン・カルロス・エナオ (オンセ・カルダス)。世界一を目前に失望する彼の瞳は心なしか潤んでいた。

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