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Campeonato Brasileiro 2004 〜ブラジル全国選手権〜

昨年に続く ルシェンブルゴ・マジック。
サントスが大逆転で2年ぶりに王座に返り咲く。
最終節 サントス 2-1 バスコ・ダ・ガマ

 ブラジル全国選手権は、12月19日に最終節が行われた。サンパウロ州の北の果てサンジョゼ・ド・ヒオ・プレットにあるベネジット・テイシェイラで行われた サントス×バスコ・ダ・ガマ は、サントスが2-1で勝利をおさめ、2年ぶりにブラジル全国選手権の王者に返り咲いた。

 同節は、最終節とあって午後4時に一斉開催された。サントスにとっては、勝ち点差1で2位につけていたアトレチコ・パラナエンセの試合結果も気にしながらのキックオフとなった。


 この日、ベネジット・テイシェイラのスタンドは、超満員のサンチスタ (サントスのサポーター) で埋め尽くされた。優勝に王手をかけたサントスは、ビラ・ベウミーロ以上の大観衆の前で、今季を象徴するような活躍を披露した。前半開始早々2分には、この試合の2日前に拉致されていた母親を解放されたFWホビーニョが、あわや復帰ゴールかと思わせるシーンを作り出す。この攻撃を皮切りにサントスが攻勢を仕掛けた。
 5分にペナルティエリアの外側やや右側から、MFヒカルジーニョが得意の左足でフリーキックを直接ゴールに突き刺した。このゴールは、第14節にビラ・ベウミーロで行われたクラシコ・パウリスタの対サンパウロ戦での劇的な決勝点に酷似した、素晴らしい軌道を描いたゴールだった。そして30分、右に流れたMFプレット・カーザグランジが丁寧なクロスをゴール前に供給。ここにMFエラーノがヘッドで合わせた。ヒカルジーニョ、エラーノと今季のサントスを牽引した2人のゴールに、場内は歓声に包まれた。2週間前まではアトレチコ・パラナエンセに首位の座を奪われていたサントスにとっては、まさに奇跡とも言える大逆転優勝であった。

 対するアウェイのバスコ・ダ・ガマには、全くもって試合への意気込みが感じられなかった。前節の勝利で1部残留を決めたことで手を抜いたのか、今季18点をマークしたペトコヴィッチ (FW;元ユーゴスラビア代表) ら主力をはずして試合に臨んだのである。結果、試合の主導権をサントスに握られ、FWマルコ・ブリットのゴールで一矢を報いるのが精一杯だった。4年前まではMFジュニーニョ・ペルナンブカーノ (ブラジル代表) を擁して、国内外でその強さを誇示していたはずの名門バスコ。来季再加入する予定のFWホマーリオに、名門復活の仕事を託すつもりなのだろうか。


 最終節までもつれこみ、どのチームが優勝するのか予測不可能だった今季のブラジル全国選手権。サントスは今季、多数の有能な選手を欧州に引き抜かれたため、優勝は不可能と思われたが豪腕ルシェンブルゴを監督に招聘してチームのレベルを落とさなかったところが、優勝の大きな要因だと思われる。彼独自の手腕で作り出す超攻撃的な戦術は、今やブラジル国内から賞賛の声が噴出するほどの評価を得ている。あたかも彼が魔法使いであるかのように。
 サントスは、2002年から優勝、2位、そして優勝と、3シーズンに渡り好調を維持しつづけてきている。今季のオフでは、さらに主力が多数放出されると予想されるが、2005年も元気なサントスを拝見したいものである。


 その他の試合では、アトレチコ・パラナエンセが、残留に必死のボタフォゴを相手に勝利を奪えず2位に甘んじた。優勝に最も近いクラブと報道されていた2週間前のことが、きっと恋しいに違いないだろう。また、最終順位をそれぞれ3位で終えたサンパウロと4位で終えたパウメイラスまでが、2ヵ月後に始まるコッパ・リベルタドーレスへの出場権を手にした。

 一方で、優勝争い以上に混戦模様の下位戦線では、まず名門フラメンゴが残留を決定。昨年王者クルゼイロを相手に大量6点を奪った快勝のゲームだった。そして、ボタフォゴ、アトレチコ・ミネイロと歴史あるクラブがそれぞれ残留を決めた。これで、2部降格の4クラブが決定。クリシューマ、ビットーリア、グアラニー、グレーミオは来季、2部リーグにて1部復活を目指すことになってしまった。それぞれのクラブが、それぞれの想いを胸にクリスマスを迎える。

 2005年のブラジル全国選手権は、4月開幕予定。来年もまた激戦が繰り広げられることだろう。


 写真右上; 大混戦だったブラジル全国選手権を制したサントス。苦しいシーズンを勝ち抜いた選手の表情は、喜びに満ちあふれていた。
 写真左上; 5分、フリーキックを直接決めたMFヒカルジーニョ (写真中央) 。今季はチームの主軸として獅子奮迅の大活躍だった。
 写真右下; 試合終了の瞬間、フェンスによじ登ったサントスの選手たち。沸き返るサンチスタと優勝の歓喜を共有していた。
 写真左下; 誘拐犯から母親を解放され、実に41日ぶりの戦列復帰を果たしたFWホビーニョが、優勝トロフィーを手に喜びを爆発させる。彼なくして、サントスの今季の栄冠はありえなかった。

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