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Campeonato Brasileiro 2004 〜ブラジル全国選手権〜

「フランゴ」返上のジュリオ・セーザル チームメイトの愛情に頬を濡らす。
第43節 パウメイラス 1-2 フラメンゴ

 ブラジル全国選手権は、11月27〜28日に第43節が行われた。サンパウロのパレストラ・イタリアで行われたパウメイラス×フラメンゴは、降格の危険にさらされている名門フラメンゴが、貴重な勝利をおさめた。

 試合は、互いの気迫がぶつかりあった質の高いものになった。21分にイブソン(MF;フラメンゴ)が右からゴールネット天井に突き刺す鋭いシュートでフラメンゴが先制する。後半に入って、72分に(MF;パウメイラス)が同点弾を決めるが、80分に右からのクロスをアチルソン(MF;フラメンゴ)がヘッドで決勝点を叩き込んだ。パウメイラスの猛攻を献身的な守備で守りきったフラメンゴが、降格圏内から脱出する貴重な勝ち点3を得た。

 5位のパウメイラスには、リベルタドーレス出場権の4位以内を狙うという明確な目標があった。それは充分に実現できる明確な目標である。昨季は2部にいた名門が、今季は1部の上位争いをしており、スタジアムにはたくさんの人が足を運んだ。前後半を通して何度も決定機を作ったものの、フラメンゴの気迫に満ちた守備の前にことごとく得点を阻まれた。相手は降格争いに必死になっている"格下"フラメンゴ。シーズンも終盤にきてのここでの敗戦で、パウメイラスは4位サンカエターノに勝ち点3を離されてしまい、目標が少し遠のいてしまった。

 対するフラメンゴにも、セリエA(1部) 残留という確固たる目標があった。ときに快勝、ときに大量失点と実に"ムラ"のある今季のフラメンゴだが、この試合では強敵を相手にして勝利という共通意識をもって試合に臨んでいた。21分の先制ゴールもFWジェアンが打った強引なシュートが相手に当たってのこぼれ球をイブソンが拾って生まれたものだった。また、40〜43分に訪れたパウメイラスの怒涛の猛攻もチーム一丸となって失点を回避するなど、非常に気迫の感じられる試合を演じていた。これが今季降格の危険にさらされているチームだとはとても思えないような内容に、2部落ちを避けんとする名門の強い思いが感じられたゲームだった。
 試合終了後、アウェイに詰め掛けたフラメンギスタの方に駆け寄り、喜びを分かち合う選手たち。そこで、GKのジュリオ・セーザルの涙があった。72分のパウメイラスのゴールシーンは、ジュリオ・セーザルの股下をくぐって入ったシュートだった。決して止められないシュートではなかったのだ。ポルトガル語では、下手なキーパーのことを「フランゲイロ」「フランゴ」と呼ぶ。仮にこの試合で勝利を得られなかったとしたなら、ジュリオ・セーザルは周囲から「フランゴ」と揶揄されていたことだろう。彼がフランゴにならずに済んだのは、切に彼の汚名返上に一役買ってくれたチームメイトの温かい愛情に他ならなかったのである。それが彼には嬉しかった。ベテランDFのジュニオール・バイアーノ(元ブラジル代表)に慰められていたジュリオ・セーザルの表情がとても印象に残った。
 この勝利でフラメンゴはとりあえず降格圏内からの脱出に成功したが、依然厳しい状況にある。国内最大の人気チームの運命は、残留か?それとも降格か?




 その他の試合では、首位のアトレチコ・パラナエンセが試合終了直前にクラウジオ・ピッチブウ(FW;グレーミオ)に同点弾を決められ、勝ちきれなかった。だが、2位のサントスも格下パイサンドゥを相手に引き分けたため、アトレチコ・パラナエンセが依然首位の座を守っている。
 一方の降格争いだが、むしろこちらのほうが大混戦である。まず、最下位グレーミオのセリエB降格が決定。過去に全国選手権やリベルタドーレスを制し、トヨタカップでアヤックスとも戦った名門が、来年はセリエAにはいない。そして今節を終えて、14位コリチーバから21位ビットーリアまでの計8チームが、勝ち点差3の中にひしめき合っているのだ。今季は、21位以降の4つがすべて降格する。この8チームはそれぞれに置かれた状況や現在の調子にばらつきがある。今季もあと3試合となったが、今節を終えて昨年王者クルゼイロや名門バスコにも降格の危機が迫ってきた。

 写真右上; 試合終了後、勝利に嬉し涙を流すジュリオ・セーザル(写真中央;ブラジル代表)。ジュニオール・バイアーノ(写真左;元ブラジル代表)が優しくいたわる。
 写真左下; 72分、パウメイラスの同点シーン。マグロン(ブラジル代表)の放ったシュートを、ジュリオ・セーザルは"トンネル"してしまった。

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